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「……い。おい。A」
「はい!?」
呆れた声と共に肩に走った軽い衝撃にハッと顔を上げると、隣に座っている副長が呆れた顔で私を見ていた。
「いい加減休憩しろ。手伝ってくれんのは助かるけどよ」
「え?うわ外暗っ!?もう夕方!?」
本日は例によって例の如く某御仁の溜め込んだ書類仕事を肩代わりする副長の手伝いをしていたのだが、いつの間にか中天にあった太陽は姿を消し、黒ずんだ赤色の空が障子の向こうに広がっていた。何てこった、こんなに時間が経ってるなんて。
「えらい集中ぶりだったな。肩とか首大丈夫か?」
「……めっちゃ凝ってます」
首や肩を回すと鈍痛と共にゴキゴキと嫌な音が鳴った。ついでに言うと足の感覚も怪しい。
正座を崩して足を揉んでいると、いつの間に用意したのか副長がお茶を置いてくれた。
「ありがとうございます……」
「おう、こっちこそ助かった。あらかた終わったからもう大丈夫だ」
「え……」
驚いて机を見ると、ちょっとした山の様だった書類の束がほとんど姿を消していた。もう後数時間もすれば完全に消えてしまうだろうそれに複雑な気分になっていると、「何でそんな悲壮な顔してんだ」と心底訳が分からないと言った声で副長にツッコまれ、思わず項垂れる。
「いや……別に……」
別にふとした時に沖田隊長のことを考えてしまうのが嫌だから現実逃避してた訳じゃないし。他に逃避出来る材料が無くなってどうしよーとか途方に暮れてないし。
……嘘ですそのまんまです。
「副長……」
「何だ」
また何か悩んでやがんなー、と考えているのが丸分かりの湿った視線をビシビシ感じながら机に突っ伏す。
「……心って、何なんですかね」
「え、哲学?」
ぎょっとした気配を感じながら答えずに悶々とする。
とりあえず隊長とは今まで通りに接するのが一番で、恋愛云々は考えないようにすれば良し、と結論付けたのだが、そう簡単に割りきれない自分が憎い。特にこの所、ふとした時に隊長の一挙一動を目で追ったりだとか、「あいつこんな事してんだなー」とか考え始めた自分に気付いてぞっとした。
その度に、隊長は喧嘩友達隊長は喧嘩友達隊長は喧嘩友達それ以上でもそれ以下でもなし、と洗脳の如く繰り返して思考を切り替える今日この頃。
これが所謂「◯◯のこと好きなんじゃない?」と聞かれてから気になり出す典型……。とテンプレ過ぎる自分に頭を抱える。少女漫画じゃないんだっての……。
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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時