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近藤さんのことを言えないレベルの不審者紛いな行動をしながらも、悶えるのはやめられない。
あー、私の部屋屯所の端っこで良かった。お陰で早々簡単に人に見られないで済む……。
座布団への八つ当たりを止め、私はぺしょりと畳に倒れ込み、開けた障子の向こうの縁側を眺めた。
「……お妙さんの馬鹿……」
あの爆弾発言のあった日からというもの、ついつい私は沖田隊長を意識してしまっている気がする。
いや、いつもは普通なのだが、ふとした時に思い出して挙動不審になる。絶対変なことになってる。
お陰で今私は隊長を微妙に避けてしまっており、絶対向こうから不審に思われているのだ。これは由々しき事態だ。
「もー……特に何があった訳でもないのに、また喧嘩になりそうじゃんかー……」
やだよ隊長とぎくしゃくするの。経験上、滅茶苦茶面倒くさい。そして罪悪感が募る。
お妙さんの言っていた、「会えば恋情を持っているかどうか分かる」というのも相変わらずさっぱりで、どうともなっていない。
っていうか大体こっちは恋愛とかしたことないんだっつーの!16歳まで半分以上引きニートだったし、ここ二年間もそんなこと考えもしなかったし!恋愛小説とか漫画もそんな読んでないし!分かるかっての!
「……はぁ」
内心で逆ギレしまくり、深い深いため息を吐いてからゴロリと仰向けになる。木の天井を数秒間見つめ、両腕で目を覆った。
「……分かってるよ」
多分恋愛というのは人間に元々備わってる感情で、本能の一部でもあって。誰に教えてもらわなくても、勝手に自覚するものなんだと思う。
だから今私が隊長をそう思っているかはっきりしないのは、無意識に分かろうとしていないからなんだろう。心のどこかで、セーブをかけているのだ。
もし本当にそうだったらどうしよう。
そうだとしても、一緒になりたいだなんて思ってはいけない。そしてそうやって我慢するのは、多分辛いから、分からないままがいい。
そんな思いで、目を曇らせている。分かっているけれども。
「……一番の問題は、頭っから否定出来ないから、なんだよなぁ……」
だから、怖い。怖くて堪らない。
今までは、恋愛とかしても無視すればいいなんて軽く考えていたけれど、実際はそれが難しい。ふとした時に思い出して悩んでいる現状が良い証拠だ。
──もし、本当にそうだったとしたら、私は。
隊長に重荷を背負わせない為に耐えることが、出来るんだろうか。
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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時