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最近大分涼しくなってきて、秋の訪れを感じ始めた今日この頃。
トンボが飛び交っているのを眺めながら、うだるような暑さともそろそろお別れかと思うと、何だか少し寂しくなってくる。
そんな夏の終わりがけを惜しむかのように、このところはあちこちで小さなお祭りが行われているようで、夜になってもどこか浮き足立つような空気が漂っていた。
「お祭り……か」
薬草茶を飲みながら、部屋の中で小さく呟く。確かもうそろそろ、毎年恒例の大きなお祭りが行われるという話をお妙さんから聞いた。いつものことだが、もうそんな時期かと驚いてしまう。
お祭りの時、真選組は大抵パトロールに駆り出される。とはいえ、近藤さんはお妙さんを誘おうとして仕事をサボり、沖田隊長もまたサボり……と、真面目にやっている人があまりいないのが実際らしいのだが。(副長談)
確か近藤さん、前はリア充に嫉妬して不審者同然のことをした挙げ句、何があったのかゴキブリの面を被ってお妙さんとお祭りを巡ったとか聞いた気がする。お妙さんと一緒になれたことを喜ぶべきなのか、あまりに奇怪な展開なのを悲しむべきなのか、物凄く困った覚えがある。
──話が逸れたが、私はお祭りに行ったことが無い。そう、18年間の人生で一度も、である。
両親が生きていた頃は勿論のこと、真選組に入ってからもずっと留守番を続けている。理由は単純だ。
夜になってちょっと視界が悪くなると、人間誰しも目を凝らす訳で。そうなると私の場合、すぐさま雷獣の目に様変わりしてしまう。
流石にそんな気を張ってまでお祭りに行くのは疲れるし、万が一が怖いので毎回パスしているのだが、正直な所行ってはみたい。
花火だって自分の目で見たことは無いし、浴衣だって着たこと無い。……持ってすらないけど。
「ほんとは十代の内に行ってみたいけどねー……」
十代のお祭りって、何だかイメージ的に青春謳歌してるっぽくて、憧れるんだよな。
……が、憧れてはいてもそれを現実に出来るかはまた別の話だ。今の私はなるべく外出を控える状況であり、夜に出歩くなんて論外。サボるとはいえ、沖田隊長にお祭りまで付き合わせる訳にもいかないし。
「……。沖田、隊長……」
………。
『沖田さんを、恋愛対象として好きなんじゃないか、って言ってるの』
「…っぁぁああ゙あ゙!!」
お妙さんの声が再生され、思わず座布団を掴んで畳に何回もバフバフ叩きつけた。
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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時