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――さて、体術の練習をしようと決めてはや数日。
現在の私の居場所は、志村家である。
……何で体術の練習で志村家なのか?
それはお妙さんが剣道以外も何故か出来るからに他ならない。
と、いう訳で、沖田隊長に付き添ってもらって志村家に来て、お妙さんに道場にて稽古に付き合ってもらった後、現在居間にてお茶をしている。
夕方くらいには、また隊長が迎えに来てくれることになっている。何だか隊長が、習い事をする子供を送り迎えする保護者みたいになっている気がするけれど、まぁそこは気にしないでおこう。
「それにしても、Aちゃんが急に稽古したいだなんて驚いたわ。武術の心得があったなんて、知らなかったもの」
「父から教えてもらってたの。ごめんね、急に頼んじゃって」
「いいのよ、気にしないで」
にっこりと微笑んだお妙さんは、とてもゴリ……じゃない、怪力無双の少女とは思えない。
容姿と武道の強さを持った、スーパーガールと言えば良いのかもしれないが……如何せん、パワーと物騒さが人外すぎて、どうやっても恐れが勝る。今日の稽古も、「本当に人間かよ」と何度叫びそうになったことか。
あんなパワーで攻撃されまくって、近藤さんよく生きてるよなぁ。
「でも、どうして急に稽古を始めたの?」
「えっ?あ、や、えぇっと、」
思考の沼にずぶすぶと意識を持っていかれていたので、すぐに質問を理解できず、一瞬彼女へのとてつもなく失礼な考えを見抜かれたのではないかと思った。危ない、鉄拳制裁はごめんだ。
「私って真選組で一番狙われやすいでしょ?やっぱり、護身術は高めておくに越したことはないと思って。
それに……」
手の中の湯飲みが湛える、ゆらゆらと揺れる緑茶に視線を落とすと、その水面に隊長の顔が浮かんで見えた。
私を守らせろ、と彼は言ってくれた。私との約束の為に、そうまでしてくれる優しい隊長。
あの人が私の所為で血を流すのは、見たくない。
「もし……うっかり私がそういう目に遭って、隊士が怪我をするのは嫌だから」
流石に「沖田隊長に傷ついてほしくない」とは言えず、「隊士」という言葉で表現すると、お妙さんは、「そうなの」と頷いた。
「――で、特に誰が?」
「へ?」
……だが、それで誤魔化せると思ったのは間違いだったらしい。
お妙さんはにっこりと微笑むと、
「特に誰に傷ついてほしくないのかしら?」
――一番ツッコんでほしくない所をツッコんできた。
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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時