検索窓
今日:36 hit、昨日:0 hit、合計:464,917 hit

141 ページ29

隊長は小さく溜息を吐いて、「それより」と話を切り替えた。


「お前、ずっと自分のことは秘密にしてたんだろィ。なのに何でんな噂が流れてんだ」

「……ただの予想ではあるんですけど……」


目を伏せて私はきゅ、と両の拳を握った。


「――私の両親を殺した、あの男が関わってるんじゃないかと思います。私のことを知っているのは、あなたと近藤さん以外では、あの男くらいしかいないと思いますから」


脳裏に浮かんだのは、母が殺された時の光景。

母の血で汚れた刀を握って、物を見るように私達を見ていた、あの男。


沖田隊長は、「なるほどねィ」と静かに呟く。


「そいつが攘夷志士共に情報流して、お前を狙わせてるってことかィ。

確か、雷獣ってのは身体のあらゆる部位が薬になるんだったっけか」


私は小さく頷いた。


「知っての通り、雷獣の血は傷を治します。それ以外では、心臓を食べると寿命が倍以上伸びたり、脳と骨や肉は万病に聞いたり。眼球を元に作った目薬は視力を回復させます。あとは……」

「うん、とにかく身体そのものが薬の宝庫ってことだな了解」

「あんた聞くの面倒臭くなったな」


だるそうな態度を隠そうともしないクソサドに思わず拳を握りしめると、「まぁどっちにせよ、」と隊長はさらりと脱線しかけた話を戻す。


「そんな状況になってんなら、外には出ねー方がいいな。情報源は、俺が調べて突き止めてやらァ」

「……」


私は思わず黙り込む。


私……ここにいたままでいいのかな。

桂の言う通り、真選組から――江戸から出た方がいいんじゃないかな。


「……A?」


私のことを話す訳にもいかないから、情報源を探るのは実質沖田隊長と近藤さんの二人だけ。

でも二人は真選組の重要な役職に就いていて、やらないといけないことも沢山あって。なのに私の個人的な問題のせいで、余計な負担を背負わせてしまう。

私は元々人質としては狙われやすかったけれど、完全に標的にされたとなれば、沖田隊長達は本格的に私を守ろうとするだろう。彼らの仕事は江戸の治安を守ることであって、私を守ることじゃないのに。


……嫌だ。

二人の――隊長のお荷物になんて、なりたくない。

そうなるくらいなら、やっぱり――……。


ベシッ


「たっ!?」


突然頭を叩かれて、驚いて顔を上げると、いつの間にか立ち上がっていた隊長が私を見下ろしていた。

142→←140



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (484 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2397人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。