真選組専属医師の悩み 4【沖田総悟】

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「いっ、いえっ…！あの、何か、不思議な着ぐるみ着た人連れてるな〜って……」


ぉお落ち着け私。そう、落ち着くんだ。

相手は私に気付いてないみたいだし、ここは無難に自然に乗り切るんだ。山崎さんもあと少しで戻ってくるだろうし。


そう、自然にだ!

たとえ動揺しすぎて声ひっくり返って、おまけに冷や汗ダラダラでひきつった笑みを浮かべていても！自然にするんだ私！


考えていることが全部顔に出やすい上に、もはや自然でない現在の様子になった時点で詰んでいる感が満載ではあるが、そんなこと構っていられない。


乗り切れ私！山崎さんが戻ってくるまで！


「む、そうか。こいつはエリザベスという。可愛いだろう」

『よろしくお願いします』


イケボで自慢気に笑った桂の隣で、ぴっ、とプレートを出したエリザベスさん。

おい待て、今のどこから出した。


「そ、そうなんですか〜。何かのマスコットキャラですか？」

「いいや。俺のペットだ」

「へ、へぇ、ペット……」


必死に会話を繋いで時間を稼ごうとしながらも、私は考えずにいられなかった。


待て待て待て、ペットって何。それ人ですよね？人間ですよね？何、桂って人間をペットにするような変態なの？

というかそれ以前に攘夷志士で指名手配犯のくせに、何でこんな悪目立ちする奴連れてるの？え？敢えて目立つことで逆にマークされないようにしてるってこと？いやどう考えても無理でしょ。寧ろ「桂はここだ」って示してるようなもんだよね？

あとさ、ぶっちゃけ攘夷志士のくせに何で私のこと気づかないの？敵対してる真選組の医者だよ？しかも女だよ？一番人質にしやすい奴だよ？普通敵対組織のことくらい調べるよね？気付かない訳ないよね？

それともわざととぼけてる？私を油断させようとしてるの？自然にどっか連れて行って人質にしようとしてるパターン??


ぐるぐるぐるぐる考える一方で、会話を繋ぐ無難な話題を探す私。人はピンチを目の前にすると頭の回転が早くなるらしい。

が、必死に繋いでいられた会話も長くは持たないようで。



「――ところでお嬢さん。先程から思っていたのだが、どこかで会ったことはないか？」

「っ」



じぃっ、と顔を覗き込んでくる桂に向ける作り笑いに、ヒビが入る音がした気がした。

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