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「ありがとうねぇ、Aちゃん。助かったわ」
「いえ、大したことはしてませんから」
正午過ぎ、山崎さんに付き添ってもらった私は、特に何事も無く診察を終えた。
旦那さんの風邪の症状も軽かったので、仕事はすぐに終わった。今のところ結野アナが言う「とばっちり」とやらも無いし、やっぱりただの占いだったんだろう。
「そうだ、ついでにお茶飲んでいかない?ご馳走するよ」
「本当ですか!?
あっ、でも山崎さんご迷惑ですよね。仕事……」
隣に立つ山崎さんを見やると、彼は手を振りながら軽く笑ってみせる。
「大丈夫だよ。丁度トイレ行きたいとこだったし、Aちゃんが飲んでる間に行ってくるね」
ト、トイレ……。
「そ、そうなんですね……。あー、うん。じゃあ、どうぞ」
苦笑いを浮かべた私に気付いているのかいないのか、「じゃあ行ってくるよ」と颯爽とトイレへ向かった山崎さん。
あれってフォローのつもり、ってわけじゃないよね……?多分本気で行きたかったんだよね?
もし、もし仮に前者だったなら、ちょっと、いやかなり微妙だった。彼氏とかにはしてほしくないような台詞ランキングに入りそうなヤツだった……。勿論、気遣ってもらうのはありがたいんだけど。
何とも言えない気分になりつつ、店の前に出されている席に腰かけてお茶が来るのを待っていると、いくらも経たない内にお茶とお菓子が運ばれてきた。
お礼を言いつつ受け取ったその時。
「茶と菓子を二つずつ」
いつの間にかお客さんがいたらしく、隣から低い男性の声がした。
「はい、かしこまりました」
にこやかに微笑んで店の奥へ戻る奥さんを見送り、お茶を飲みながら隣を見る。
っていうか本当、いつの間に人が来てたんだろう。全然気付かなかっ……。
「……。
へっ?」
端から見れば間抜け面にしか見えないくらい、ぽかんと目と口が開くのが自分でも分かった。
え?……は?
――はぁぁあ!!?
「なっ、なん、なっ……」
パクパクと金魚のように口を開閉する私を、その人は不思議そうに見る。
私の隣。人一人分程の距離を空けて座っていたのは。
「…?俺の顔に何か付いているか?」
――黒髪ロン毛のイケメン。
プラス、その隣によく分からないペンギンみたいな着ぐるみ着た人(?)。
……何っっで今ここでテロリストとエンカウントォォォオオ!!?
そう叫びそうになって、全力で堪えた私を誰か誉めてほしい。
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霜夜華(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!受験お疲れ様です(^o^)頑張ります! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
りん - お久しぶりです!受験でしばらく来れてなかったんですけど更新されてて…凄く嬉しいです!!読んでて進展しててドキドキしました!これからも応援しています。 (2019年2月17日 14時) (レス) id: 0f485d2f15 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 内田さん» おおお勢いのあるコメントありがとうございます!(*´∀`)頑張ります! (2019年1月18日 10時) (レス) id: af44df98e2 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - すごく好きです!!!!更新頑張ってください!! (2019年1月16日 18時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - かぼちゃんさん» ありがとうございます!のろのろ更新ですが頑張ります! (2018年9月23日 20時) (レス) id: 64f91c64f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2018年1月8日 10時