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「……でも」


体の中で何かがうねって、口をこじ開けて出ようとしてくる。

力尽くで抑えようとしても、止め切れない。

ぱたり、と畳で水が弾ける音がした。


「でも、だったらどうしたらいいんですかっ……。そうやって生きる以外に、どうやって生きたらっ……」


ずっとせき止めていたものが決壊してあふれ出すのを止める方法も見つからないまま、私の口は勝手に動き出してしまう。


「苦しいんですよっ……。生きてるのが辛くて、怖い……!

正しい事をした筈なのに、それで二人を死なせて……その上これからまた私のせいで誰かが傷付くのがっ……あんな思いを味わうかもしれないのが怖くて仕方ない……!だからっ……」


だから、何度も死のうとした。

……でも。


『死んだら駄目だ。ご両親はAちゃんが死ぬのなんか望んじゃいねェ。じゃなかったら、親父さんが君を生かす為に死んだりする訳がねェ。だろ?』


そう言われて、私は悟った。


たとえ言い訳にされて生き残ったとしても、生きないといけない。それが私への罰で、義務なんだと。

死ぬことは、ただの逃げなんだと。


でも、それはすぐに受け入れられるようなものじゃなくて。こんな最低な親不孝者で、こんな思いを抱えて生きるのは辛すぎて。

――そんな時、近藤さんが真選組に誘ってくれて、私はすぐに飛びついた。


誰かを助ける為なら生きられる。役に立つと実感できるなら、負い目だって我慢できる。

何より、こんな私を必要としてくれるのだから、何が何でも助けなきゃと思った。

自分の命が危うくなったって、痛い思いをしたって構わなかった。


何をしてでも役に立たないと。

それくらいしないと。


「生きる事も……、それだけの価値も、自分自身に見出せやしないのに……っ!なのにそれが駄目だって言うなら、教えて下さいよっ……!

どうしたら、私は生きられるんですかっ……」


こんな事隊長に言ったって、どうしようもないのは分かっている。

答えなんて、思いつく筈も無いのだから。


でも、心の奥底に秘めた思いはついに押さえきれなくなっていた。

こんな私には考えることさえ許されないその思い。


"――誰か、助けて"

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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん  さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん   - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時

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