真選組専属医師の悩み３【沖田総悟】

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――夢を見た。


『大丈夫ですか!?しっかりして下さい!!』


路地裏で倒れていた瀕死の男性を、私の血を使って助けた事。

父と母に、雷獣であることを知られてはいけないと言われていたのに、知られてしまった日の事。


『あぁ、こいつは地球人か。なら、いらねェな』


数日後、家に手下を連れてやって来たそいつが、母の頸動脈を斬った事。

母は粗末な麻袋に入れられて、父と連れ去られる時一緒に持ち出された。母の亡骸がどうなったかは、今でも分からない。


『A、生きろ。お前は何も間違った事はしてない。生きるんだ』


密輸船に乗せられそうになった時、父が命を捨ててまで私を逃がした事。


『追え！絶対に逃がすな！』


後ろから迫る恐怖から、必死に逃げた時の事。


ぐるぐるぐるぐる。記憶が回る。

気が付くと私はただ記憶を見ているだけではなく、追っ手から必死に走って逃げる当時の私になっていた。


どうしてこうなってしまったんだろう。

どこで間違えてしまったんだろう。


あの男を助けなければ良かった？見て見ぬ振りをするべきだった？

そうすれば、父さんも母さんも死なずに済んだ？


――あぁでも、そんなことをしてしまったらきっと、私が私でなくなった。


今度はあいつを死なせた事を負い目に生きていかなきゃいけないんだ。


「……じゃあ、どうすれば良かったの？」


目尻から熱い涙が零れる。


助けた事が人として間違っていたなら、その方が良かった。

そうすればきっと、今。


こんなにも苦しい思いをすることなんて、なかったのに。

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