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そのまま少しの間ぶつぶつ何事かを呟いて、銀さんは顔を上げた。
「まー、流れに身を任すしかねェんじゃね?」
「……ですよね」
だよね。寧ろもうそれしかないよね。
大体察しが付いていた結論だが、やっぱり少し落胆してしまう。
流れに任せて、結局このままどうにもならなかったら、どうしたらいいのやら。
と言っても、それはその時考えるしかないんだろうけど。
「何かすいません、長々と付き合わせちゃって」
「気にすんな、金もらってんだし」
「それはそうなんですけど」
あれはどっちかと言うと同情によるもので、相談の為に支払ったっていう感じじゃないんだけどな。
そう思いながら立ち上がると、「あ、けど一個」と銀さんが人差し指を立てた。
「元の関係に戻りたいなら、沖田君が何でお前にああ言ったのか考えてみたらいんじゃね?」
「へ?」
何で、ああ言ったのか…?
「それ、割と考えましたけど分かんなかったです」
「『分かんなかった』で終わらせちゃ駄目なの。ちゃんと理解しろ。そしたら多少は仲直りのきっかけくらいにはなる……かも、しれねェ。……多分?」
「めっちゃ自信なさそうですね」
はっきり断言しておきながら、後半がちょっと尻すぼみになっていた。何だそれ、上手く行くか分かんないってこと?
……まぁでも、何の糸口も無いよりかはマシか。
「分かりました、考えてみます。ありがとうございました」
「おー、頑張れな」
ひらひらと手を振る銀さんに軽く頭を下げて、私は万事屋を出た。
「沖田隊長が怒った理由、かぁ……」
歩きながら、早速銀さんに言われた通りに考えてみる。それはつまり、あいつの心情を理解しろという事だろうか。
そこまで考えて、ふと思い出した。
「……そういえば」
『俺の気持ちも知らねェで……。紛らわしいのはどっちだ』
そんなことも、言ってたっけ。
気持ち……。俺の気持ち、って何?
それはつまり、沖田隊長が私に対して思ってる事…か?
……。
――考え始めて数分経ち、私は頭を抱えた。
「……さっぱり分からん」
いやだって、あいつ私を調教対象か玩具としてしか見てないんだよ?なのに何で怒るの?
理由が無くね?無いよね、うん。
「……でもこれが糸口なんだよね……」
何だろう。これは私が女子だから分からないんだろうか。もう男にしか分からない心情なんだろうか。
「……聞いてみるか」
本人には聞きづらいから、とりあえず副長あたりに。
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時