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落ち着け、と一度拳を握り締める。暫く握り締めていたそれを、ゆっくりと緩め、出来るだけ静かに声を発した。
「…貴方、攘夷志士ですか」
「質問に答えろ。何者だと……。ん?貴様……。
もしや真選組の専属医師か」
……バレた。
まあ男所帯の真選組で唯一の女だし、分からない方がおかしいけど。
「専属医師が一体何をしている」
「人探しです。貴方、この近くの通りで倒れていた隊士がどこにいるか知りませんか」
男は喉で笑った。
「さて、そいつは知らぬが。しかしわざわざ一人で探しに来るとは愚かな娘だ」
足音と共に、前から三人、後ろから新たに一人の男が現れる。
「娘。悪いが人質とな『嫌。』ぶへッ!?」
言い終わる前に私は素早く振り向き、刀を突きつけていた男の顎を渾身の力で蹴り上げた。男は白目を剥いて気絶する。
「か弱い女の子に寄ってたかって挙げ句に拐おうとする性根の腐った奴らの言うことなんて誰が聞くか」
「「「「どこもか弱くねェだろ!!ってか口悪ッ!?」」」」
何言ってるんだ。何処からどう見てもか弱いでしょ、見た目は。
「Aちゃん見た目はおしとやかよね、見た目は」ってお妙さんにも認められてるし。
正直お妙さんには絶対言われたくないけど、半分ディスられてるけど、一応褒められてるし。
それと口悪いのはドS野郎のせいで私のせいじゃない。ここ重要。
「貴方達みたいな野蛮なだけの人間には、国なんて絶対変えられない」
「貴様…ッ!」
全員が抜刀し、構える。
――さて、どうするか。
私も一応戦うことくらいは出来るが、残念ながら今は武器を持っていない。
それにこんな狭い路地裏では、素手では流石に勝てない。
つまり、残る道はひとつ。
「――逃げるが勝ち!!」
懐から取り出した小さい玉を二つ、思いっきり地面に叩きつけると、中から白い煙が吹き出した。
「ぐっ……!?」
「何だこれ…は……」
志士達は次々と倒れ、寝息を立て始める。私は息を止めたまま素早くその場を離れた。
もしもの時の為の睡眠煙玉だ。一度吸えば数時間は絶対起きない。
路地裏から出ると眩しい夕日が突き刺さり、私は思わず目を細めた。
一体どこにいるんだろ……。
「早く見つけないと……」
「――何を見付けるってんでィ」
「!?」
その声に驚き左手を見れば、
「沖田隊長!?」
面倒臭そうに腕を組み、壁にもたれる探し人がいた。
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茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時