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――今から二年ほど前の春。
「今日から真選組の専属医師として働く霧神Aちゃんだ」
身寄りもなく、一人だった私を拾い上げてくれた近藤さんに勧められるままに、私は真選組の専属医師として働くことになった。
近藤さんには感謝している。こんな私を助けてくれた上に、仕事までくれた。
色々と便宜を計ってくれたこの人のためにも、頑張らなくては。
その決意を胸に、目の前に勢揃いする厳つい隊士の皆さんに頭を下げる。
「霧神Aです。微力ですが、皆さんのお役に立てるよう頑張ります」
いきなりの余所者でも、厳つい見た目に反し隊士の皆は優しく接してくれた。
「男ばっかりでむさ苦しい所だけど、Aちゃんみたいに可愛い子が来てくれて嬉しいよ」
なんて女子的に嬉しい事を言ってくれる人もいて、本当に嬉しかった。
こんな私でも居場所を持てた事が、どうしようもなく幸せに思えた。
……のだが。
「――お前かィ?医者ってのは」
働き始めた初日、食堂で夕食をとっていると、童顔の少年に声を掛けられた。
栗色の髪に赤い瞳。端整な顔立ちで、年も近そうだ。
「はい。霧神Aです。よろしくお願いします」
「俺ァ沖田総悟。お前、近藤さんに拾われたんだって?」
「そうです。身寄りもなかった私に、特技を役立ててみてはと言って下さって……」
「チッ」
……え?
私は思わず目を瞬かせた。
今この人、舌打ちした?
「何でもねェ。これやるよ」
沖田さんは持っていた缶ジュースを差し出した。オレンジジュースだ。わざわざ用意してくれたらしい。
やっぱりさっきの舌打ちは気のせいだったに違いない。
「わっ、ありがとうございます!頂きます」
早速プルタブを開けて、口にジュースを含んだ、その直後。
「……ッ!」
――口内で火山が爆発した。
「かっらァァアァァアアア!!!!???(※辛い)」
「ぶふっ!」
余りの辛さにそう叫ぶと、沖田さんは笑い出した。
「辛すぎ苦い口痛いしかも頭にも何か来て痛いィィィイイ!!!
誰か水水水下さい死ぬゥゥウ!!!」
「どうでィ俺の特製ワサビ入りタバスコは……ッ!ヤベェコイツ面白ェ腹痛い……!!ひぃ……!」
「何やってんの総悟ォォオオ!!?」
――後で周囲の話を聞けば、近藤さんに世話を焼かれていたのが気に入らなかったのだろうとの事で。
ここから嫌がらせはエスカレートして行き、今のギッスギスの関係が出来上がったのだ。
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茸筍 - でも、カッコいいわ (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
茸筍 - 吉沢亮に血染めの犬の餌投げつけるかw w w (2021年7月11日 21時) (レス) id: ca7cb48629 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - さわさん» そこまで喜んでいただけて嬉しいです!(*^▽^*)続編も頑張ります!! (2017年5月29日 22時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
さわ - やったァァァァァ!!w続編なんてすっっっごく嬉しいです(*-`ω´-)9 ヨッシャァ!!楽しみに更新待ってますね!(*´ω`*) (2017年5月29日 22時) (レス) id: e6f444c96b (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - mokamoiさん» い、いちばんですか!?(゜ロ゜;ノ)ノそんな、とても恐れ多い誉め言葉を頂けるなんて光栄です・・・!ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月29日 5時) (レス) id: 9126ee9e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年5月12日 2時