第九十二話 ページ6
「まずは強い順から戦っていくかい?」
勇本先生の提案に、ほとんどが大きく頷いた。
だが、勿論。孤高の狼は首を横に振る。
「俺、いいですけど」
「「「!?」」」
小さいが、響く声でねこみゅが言った。
全員が驚き、ねこみゅの方を見る。
「いいのかい?ねこみゅくん」
「まぁ、はい」
ねこみゅがそう言い、頷くと勇本先生が構えた。
「なら、かかってきたまえ」
指と指の間にナイフを挟み、ねこみゅの方を向ける。
ねこみゅは大鎌を構え、勇本先生を殺気のこもった眼でにらんだ。
――――無理だ。
勇本先生をそもそも倒せるわけないし、致命傷を与えるにしても、ナイフと大鎌じゃ俊敏さが違う。
「ねこみゅ……」
「パッツン、大丈夫」
私が心配そうに出した声に、美人が答えた。
その声は、まっすぐとねこみゅを信頼していた。
「私が、指令が信じてあげないとね」
「ふわ、ごめ、ごめんなさい…勝手なことい、言って……」
我に返った美人が、わたわたと慌てる。
相変わらずドモリは治っていないようだ。
「はッ!ほんと美人ってさいこー」
「ふぇ!?」
笑いながら、ねこみゅと勇本先生を見る。
私は指令。指示を出して、的確に殺しを行う。
ナイフは、俊敏さがあるが、ねこみゅのあの目を持っていれば、その動きをも見ることができるだろう。
「やってこい、ねこみゅ」
そう呟いた後、ねこみゅがその声を聞いていたかのように、ニヤリと笑った。
ねこみゅは勇本先生を睨みながら、大鎌を大きく上にあげる。
勇本先生はそれに警戒して、更にナイフを強く握った。
ねこみゅは、お得意の風を起こすのかと思いきや、構えたまま、勇本先生の方へ走り出した。
「!?」
勇本先生が少し驚き、じゃっかん体制を崩した。
そのすきを見て、ねこみゅは足で勇本先生の手を蹴り、ナイフを払い落とした。
そして、刃で勇本先生を囲んだ。
「これで――――」
ねこみゅがそう言いかけた時だった。
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