第百五話 ページ20
美人が手を離し、帰野先生は明らかに動揺した。
「はったり!?」
隣でもヤンチャーハンが驚いたように声を上げる。
美人が矢を手から離し、左手で握っていた弓で帰野先生の脇腹辺りを狙った。だが、さすがの帰野先生。その弓でさえも反応は遅れたものの、手で受けてしまった。
「これも!?」
美人が驚きながら、再び右手で矢を振り下ろす。
帰野先生はその矢を掴まず、美人の右手を握り、弓を手から離すと美人の左手を掴んだ。
「はい、このあと、まだ策はある?」
ニヤニヤと馬鹿にしたように笑う帰野先生の言葉に美人が震えながら首を振った。
だめだ。美人でこんな、赤子みたいに扱われる。じゃあ、私らはどうすればいい?
天災とバカの極と目を合わせる。
ど、どうしろってんだぁ!?
「さて、次は・・・」
帰野先生の言葉に、バカの極の顔がどんどん青くなっていく。
「ひぃッ・・・!ごめんなさい、ごめんなさい!」
「なに謝ってんだ、早く準備しろ」
ほとんど泣いた状態で、バカの極が帰野先生の前へと出る。私たち残留組になにか目で訴えていたものの、私たちにもできることはない。
出来ることと言えば、天災と二人で仲良く震えている事くらいだ。
「あぁ、俺死にたくねぇ」
___
どうしよう。どうしよう、どうしよう!
私よりもめっちゃ強い人たちが負けてるのに、私が勝てるわけないじゃん!?勝てたら奇跡だよ!?
知ってた?今残ってる二人はさ、司令塔っていうかっこいいポジションがあるわけ?
でもね、私にはない。つまり、攻撃型の『殺し屋』の中で、一番私が弱いの!なんで戦わせんのよ!危ないよ?危険だよ?やめようよぉ・・・!
「・・・でも、仕方ないか」
ボソッとつぶやき、先生を観察する。―――って言っても、私はパッツンとか美人と違って、目?とか?持ってないけど?
「やるしかないもんねぇ!」
両手に握った剣を握りしめ、勢いよく帰野先生に突っ込む。
「とりゃあ!」
適当に剣をふり、帰野先生の動きを制限しようと試みる。
作戦がうまくいったのか、帰野先生は剣をうまくかわしながら、少しずつ後ろへと下がっている。
「バカにしかできない、戦いg――――ガチッ」
帰野先生が、私の振り回す剣を素手でうまいこと(かっこ、どうやったかはよくわからん!かっことじる)止めたのと同時に、痛々しい音が響いた。
そう、響いた。
「いったぁ!!話しながら戦ってたら、舌噛んだぁー!!」
「「ただのバカじゃんか!!」」
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