第百二話 ページ17
「ッ、だ、誰が行く?」
少し上ずった声で言いながら、全体を見回す。
さっきの秀才との戦いを見て、もちろん誰も自ら行こうとはしない。顔を上げず、目を合わせようとしない。
帰野先生がしびれをきらし、指をさして選んでいく。
「だーれーにーしーよーおーかーな」
その言葉に、全員がビクつき、恐る恐る顔を上げる。今回帰野先生に死刑宣告・・・ではなく、選ばれて指をさされていたのは――――。
「おし、ボンバーマンな」
「え、お、俺ッスか?マジで?」
「あぁ、早く準備しろ」
「え、えぇ・・・」
嫌々剣を握り、少しウォーミングアップを始めるボンバーマン。剣を振り、体を動かすごとに顔つきが徐々に変わっていく。
ここが、こいつの強さだ。気持ちの切り替え、作り方、温度が違う。
「ねぇ、パッツン・・・」
「ン、なに?珍しいじゃん」
突然話しかけてきた美人に驚きながら、振り向く。
前まではさっぱりだったのに、最近はよく話すようになってきた。それもこれも、C組と戦って、自信がついたからだろう。
「な、なんかね。帰野先生・・・キャラ違うなぁ、って」
「帰野先生?キャラ・・・」
そう言われ、少し観察してみる。
さっき足で蹴ったバットを、勇本先生のところへ取りに行っている。勇本先生は少し心配そうに声をかけているが、帰野先生はそれを軽くあしらっている。
と、そこまでは普通だが、帰野先生の表情。それは笑っていた。ニヤリと、少し不気味な感じで。
しかも、バットを握るとボンバーマンを鋭い目つきで観察している。
「は、話し方も考えたら・・・。あの人、もしかしなくてもバット持ったら・・・性格変わる・・・?」
「だ、だよね?帰野先生・・・よく話してるし・・・今日」
それはあんたもでは、という言葉を飲み込み、頷く。
確かに今日はよく話している。いつもぶっきらぼうに話しているのに、今日は「だーれーにー」なんて言っている。
「ちょっとビビるよね、あんな帰野先生」
「わ、ヤンチャーハン。・・・まぁね。でも、あれが帰野先生・・・いや、『殺し屋』の帰野先生なのかも」
「はは、確かに」
割り込んできたヤンチャーハンが笑いながら、ボンバーマンを見る。美人は私の言葉に小さく頷いていた。
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遅れました!ベルフェゴールです!
ついに!長かった戦いが!終わりました!そうです、受験です!
あとは発表を待つだけです・・・。
そして卒業もしました!春休みはなるべく更新していきます!
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