第九十九話 ページ13
「最後のとどめ、僕の腕つまりナイフが、顔の近くにあった。だから防げたんだよ。そこまできちんと計算して、やっと完璧だ」
「はい・・・」
秀才の鈍を見つめ、勇本先生が言う。
確かに、そうだ。さすがの勇本先生でも、銃弾の速さで腕を動かすことはできないだろう。
「それと、姿勢だね。今のを現場でやっていたとしたら、アウトだ」
ゆっくりと起き上がる秀才の鈍を見て、勇本先生が笑う。
秀才の鈍は、ほとんど地面に寝転んだような姿勢だった。
懐に入り込む勢いで、そのまま地面に背中がついたのだろう。
「お疲れ」
「うん・・・」
孤高の狼の声掛けに、秀才の鈍が微笑む。
砂を払う秀才の鈍を見ながら、次の相手を考える。
秀才か、ボンバーマンか、はたまた美人か・・・。
そう思っていると、カラン、という聞きなれない音がした。
全員が頭にクエスチョンマークを浮かべる中、勇本先生が怯えたように音のした方を見た。
自然と、勇本先生の目線の先を、全員が追いかける。
その目線の先に立っていた人を見て、全員が目を見張る。
そう、そこに立っていたのは――――帰野先生だった。
「おい、勇本ォ。なに、ビビらせてんだ、生徒のこと」
ほとんど不良口調の帰野先生が釘が所々に刺さったバットを肩にかける。
勇本先生は息を呑み、ゆっくりと口を開いた。
「人聞きの悪い・・・。ビビらせてはいないさ。それより‥‥どうしたんだ?バット、昔の武器なんてだしてきて」
「いつもお前だけに実技を任せちゃ悪いと思ってな、私も体がなまってきてるから・・・手伝おうかなって?」
にっこり笑顔でそういう帰野先生を見て、計六名が叫んだ。
その六名を見て、帰野先生が今度は刃・・・じゃない、歯を見せて笑う。
「おい、残ってる奴ら、誰だ?」
「ひえ、」
誰だよ、強い奴順っつったの!!!
残っている六人、秀才、ボンバーマン、美人、バカの極、天災、私の六人が思いっきり叫ぶ。
「「ぎゃぁあああああ!!!!」」
「安心しろ、おめぇら。手加減はしてやる」
「ぜ、絶対むりだ・・・」
私の言葉に、全員が頷いた。
ここにきて、見参、ですか・・・。貴方様が。
半泣き状態になりながら、全員がわなわなと震える。
帰野水速、血濡れの釘バット、ここに復活・・・泣
「血濡れの釘バット、見参☆」
こ、この人の笑顔、恐怖でしかない・・・。
あ、これ死ぬヤツ(絶望)。夢に出て来ませんように・・・。
次回、波乱の幕開け。(死)
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