第五章 「放たれた矢」 ページ7
翌日、調べていた者によると、あの紋章はユスアトッカ合併国のものだということが判明したらしい。
「ユスアトッカ･･････か。まさか、ね」
部屋で一人呟きながら、外に出た。
♦ ♦ ♦
「今日は少し兵の強化をしようと思って･･････杏はなにか感じては？」
廊下を歩きながら杏に聞く。
さっき、そこでばったり会ったのだ。
「ンー、まだなんとも言えねぇかな･･･」
窓の外を見て、杏が呟く。
「兵の強化はいいんじゃねぇ？」
「そうか･･･なら、話を進めてくる」
そう言い、廊下を右に曲がる。
「じゃーな」
杏がそう言いながら手を振る。
こういうところが女っぽいｗｗｗｗ
♦ ♦ ♦
話し合いの結果、兵の強化が決定。
盗賊の件もあり、少しの間強化することになった。
この事を日和様に報告しなければ。
日和様の部屋に向かう。
コンコン。
二回ノックすると、すぐに返事が来た。
「どーぞ！」
少しくぐもった声だ。
まさか。
勢い良く扉を開ける。
「やはり･･･またお菓子を食べて！間食は禁止と申したはずです！」
「うわぁ！遼河ぁぁ！！！なんで！？―――ってあぁ！とらないでぇ(´;ω;｀)」
日和様が食べているケーキをおぼんごとひったくる。
「まったく、油断もできないんですから･･･」
フーッ、とため息をついていると、ベランダに繋がる窓が二回、小さくなった。
「！？」
少し驚くが、すぐに警戒をとく。
杏だ。おそらく木を伝ってきたのだろ。
「どうしたの？杏」
日和様が窓を開けて、ベランダに出る。
それで少し風が部屋に入って来る。
「少し気になる点がありまして･･･少しいいですか･･････？」
そう言いながら、シャツの袖を折っていく。
汗をかいているから、暑いのだろう。どこから来たんだ？
「気になる点･･･いいわ、中に――――」
日和様がそう言い、杏を中に入れようとしたとき、向こうの方で何かがキラリと光った。
そしてしばらく。
シュン、と風を切る音がし、なにかが視界に入る。
ほんの数秒。考えて、それが矢だと気づく。
そして、その矢が日和様に向かって、飛んでいることに気が付いた。
杏も気が付いたのだろう。
後ろに手をまわしている。
ダメだ。間に合わない。
この間と言い、俺はなにをしているんだ。
だが、今回は杏も間に合わない。
日和様は死んでしまう。
「主―――！！！」
そう言いかけたとき、視界の右端でなにかが動いた。
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