【歌い手】アンチアルバイト

バイト歴　第11回 ページ13

your side
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姉が出て行ってから、私は一つ大きなため息をついた


意気地なしな自分に対する失望と


寸前で決意を揺らがせてくれた姉に対する少しの感謝


心も体も疲れ切っていて、そのままばたりと布団に倒れこみ、眠りについた








起きると、窓の外は暗くなっていた


もう一度、DMを確認する


何度見ても変わらない、文面と残酷に突き付けられた事実


そして今日も変わらず響く通知音


ぴろんっ、という負の時間を告げる音が部屋に落ちる






[ まふまふ＠こたつでみかん さんが「生放送・聞きたいこと」を開始しました]





行かなきゃ


パソコンを立ち上げ、普段のコメントをまず打ち込む


“今日もよろしくね”


画面を埋め尽くすファンのコメントに紛れて、いつもより控えめにコメントする


「はい、どうも、こんにちは、まふまふです!」


「今日はゲストを、呼んでます!」




＞＞誰ですか!?
＞＞予想：そらるさん
＞＞↑それな
＞＞天月さんとか…?




「……どうも、そらるです」




＞＞私得すぎる
＞＞最高神回の予感しかしない
＞＞予想的中




「というわけで、今日はそらるさんとやっていきます」


“ふたりとか、最高にやりやすいわ〜”


あのDMが頭をちらついて集中できない、話が入ってこない


「----あ、この放送はちょっと暗くなりそうなんです、楽しい放送ではないです、ごめんなさい」




＞＞なんですか？
＞＞大丈夫です!
＞＞…?
＞＞何かあったんですか?
＞＞大丈夫ですか?




「皆さんに聞いていいですか?まず、アンチについてどう思いますか…?」




＞＞いいことではないと思います
＞＞勝手に思うならどうとでも、でも声にしてネットに乗せなくていいと思います
＞＞他人を苦しめる・傷つけることが正しいとは思いません




至極まっとうな意見が流れ出す


“え?もはや日課”


それが、私に許された答え


もちろん、それに対して批判のコメントが続々と流れ出す


そして、次の瞬間、まふまふさんとそらるさんがとんでもないことを言い出した


「日課がアンチの人はなかなかいないでしょう、でも、いますよね」


「俺たちの考えとしては、そのアンチの子は“違う”」


「そういう風に感じる何かがその子にはあるんです」




＞＞確かに…
＞＞ここまで徹底してるともう本職というか…




っ気づいた!?


かすかな希望が、不安が沸き上がった


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