【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室《短編集》

【唯＆幸子のお願い2《御幸登場編》】 ページ23

「失礼します。スコアを…」

そう言いながら入ってきたのは、ジャージとTシャツに着替えた御幸だった。
部屋の中で撮影会が行われているのを見て、固まってしまっている。

「み、御幸…！」

突然の御幸登場に動揺した私は、唯と幸子がチラッと意味深なアイコンタクトを取ったのに気付かなかった。

「御幸！ちょうど良かった！男性の意見を聞きたかったのー。ほら、もうちょっと近付いてもらって。」

「お、おい、夏川？」

唯が御幸の背中をグイグイと押して、私の方に近付けてくる。

「雑誌の写真コンテストに、Aさんの写真送って大賞狙ってみようと思ってさ。軽くメイクして髪型整えたんだけど、どう？」

「どう？って…」

御幸は戸惑った顔で頭を掻きながら私に目を向けた。
…が、はた、と、何かを思い付いたのか、ニヤッと笑みを浮かべながらズイッと近付いてくる。

「ち、ちょっと、御幸…！」

「この前、Aさんに俺の顔をしげしげと見られましたからね。お返しです。」

「あ、あれは…！…ってか、そ、それにしたっ
て、近くない？」

気付けば、鼻先10センチほどに詰め寄られている。
すぐ目の前にある、長い前髪。
眼鏡の奥から覗く、大きく切れ長の瞳。
いたずらっぽい笑み。
以前、眼鏡を取って素顔を見てしまった時の記憶が甦って、カアッと顔が熱くなる。

「だって、近付かないと嫌がらせにならないじゃないですか。」

「嫌がらせかいっ！」

「はっはっは。ざまぁみやがれです。」

カシャッ

…は？
カシャ？

「いただきました！ベストカップル！」

「Aさんっ！追加で、『私の学校のベストカップル』にも応募しときますね！それじゃあ…」

「「お疲れ様でした！」」

そう言うと、いつの間にか帰り支度をしていた唯と幸子は、脱兎の如く帰って行った。

「…あいつら…俺の肖像権を何だと思ってやがる…。」

「…ベスト、カップル？」

二人きりになった部屋で、御幸と私はそれぞれボソッと呟いた。
…と、御幸がチラッと視線を投げてくる。

「…Aさん。」

「な、何？」

微妙に距離が近いままなので、思わず身構えてしまう。

「Aさんも帰るんですよね？」

「そりゃ帰るけど。」

そう言うと、御幸がポリポリと頭を掻きながら言った。

「…今日は、面倒事が多いかもしれないんで…送りますよ。」

「……え？」

「声かけてきた相手を、勢い余って病院送り、とかされても困るんで。」

「…どんだけ暴力的なイメージなの、私…」

【前園健太と漫画】※趣味に走りましたm(__)m→←【唯＆幸子のお願い1《撮影開始編》】

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