金丸信二【そういうこと】 ページ9
「ねぇ信二、彼女アリかナシかだけだから…!」
「自分で聞けよ!」
「私は御幸先輩と面識ないから頼んでるんでしょ!」
放課後の教室で、部活に行く前の信二を捕まえて『お願い』してみたけど…きっぱり断られた。
不機嫌全開で荷物をまとめ、席を立とうとする信二に、私はもう一度食い下がってみる。
「信二ってば!」
すると幼稚園からの幼馴染は、ギロッと一度私を睨み付けてからフイッと顔を逸らした。
「…お前も御幸先輩かよ…」
「え?」
「何でもねぇよ!とにかく自分で何とかしろ!」
「ちょ、信二!お願いだから!……頼まれたの!友達に!」
歩きだそうとする背中にそう告げると、信二はピタッと動きを止め、チラリと顔だけ振り返った。
「……頼まれた?」
「うん…御幸先輩が好きらしくて…」
「…とか言って、自分が知りたいんじゃねぇの?」
「私?なんで?」
きょとん、と尋ねると、信二は暫く私の顔を見つめ、片手で顔を覆ってため息をつく。
「…紛らわしい聞き方するんじゃねぇよ…」
そう呟いたあと、信二は指の間からチラリと私を見た。
「…彼女がいるかいないか…それだけだからな。」
「…え…聞いてくれるの!?」
「聞けっつったのはお前だろ!」
「そ、そうなんだけど…でも、さっきまで嫌がってたのに…」
「…それは…」
素朴な疑問を口にすると、信二はなぜか目を泳がせた。
それから巨大なため息をついて、くるっとこっちに向き直る。
「…あのよ…もし…お前が好きな男に、お前の知り合いの女子に彼氏がいるかどうか聞いてくれ、って言われたら…どう思う?」
「…何それ…?」
「いいから答えろよ。どう思う?」
半目の仏頂面で問いかける信二の意図は読めないけど…
好きな人…から…
「…そりゃ…その子のことが好きなのかな、って…不安になると…」
「だろ?そういうことだよ。」
「…………は?」
「じゃあな。」
表情を変えずにそう言うと、くるり、と信二は踵を返す。
そういうこと、って…
信二も、不安になったってこと…?
それって…
それって…!
ピタ、と、信二は数歩歩いて足を止める。
肩越しにゆっくりと振り返ったその顔は、相変わらず仏頂面だけど耳まで真っ赤になっていて…どくん、と心臓が大きく脈打った。
「…いい加減気付けよ。何年かかってんだ、鈍感。」
そう言って再び歩き始める幼馴染を、同じくらい真っ赤な顔で私は見送っていた。
(斎宮なずな様リク)
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雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきます!御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ! (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します! (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね!?できるならお願いします!! (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д`)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ!鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年2月4日 22時