結城哲也【プロポーズ】 ページ8
「…あぁ…素敵だったぁ…昨日の友達の結婚式…」
両手で部屋の机に頬杖をついてポワンと呟くと、向かい側の哲さんは、「そうか」と微笑んでコーヒーを口に運ぶ。
「新婦のね、ドレスももちろん素敵だったんだけど、着物も綺麗で…」
「着物か…いいな。」
「でしょ?私も着物着ようかなぁ…でも、やっぱりウェディングドレスって憧れだ…し…」
…と、はた、と私は言葉を止めた。
…これって…プレッシャーかけてるみたいかな…?
そりゃ付き合って6年も経つし、哲さんはもちろん2歳年下の私だってアラサーだし、結婚を意識するのは当然だけど…。
とにかく話題を変えようとしていると、哲さんが何でもないことのように言った。
「なら、お前も両方着たらどうだ?」
「…え?」
「着物もドレスも似合いそうだ。」
「…に、似合…って…」
「結婚式が楽しみだな。」
はい…!?け、結婚式…!?
え?え?そんな話したっけ…!?
「て、哲さん…」
「どうかしたのか?」
「いや、その…結婚式…って…」
どう言おうか考えていると、哲さんがハッと目を見開いた。
「そうか…しまったな…」
あ…気付いてくれた?
「日取りを決めてなかったな。」
「じゃなくて!」
半分ずっこけながら突っ込むと、哲さんはきょとん、とした顔をしている。
ええと…
「…て、哲さん…あの…私、結婚とか、初耳で…」
「初耳?」
「あ!もちろん、哲さんが結婚を考えてくれてたなんて死ぬほど嬉しいんだけど!でも、ちょっとビックリしたっていうか…」
ポンポン、と頭を叩かれたのはその時だった。
顔を上げると、哲さんが苦笑いを浮かべている。
「すまない…またやってしまったな。」
「哲さん…」
「付き合い始めた時からずっとそのつもりでいたからな…てっきり伝えたものだと…」
「…え…?」
つ、付き合い始めた時から…?
「改めて言うが…A…」
「は、はい…」
柔らかく微笑んだまま、哲さんは続ける。
「お前が隣に居たこの6年…俺は本当に幸せだった。」
「哲さん…」
「だから…これからもずっと…隣に居て欲しい。」
どこまでも真っ直ぐな瞳を僅かに細めて
哲さんは優しく、でもはっきりと告げた。
「家族になろう。お前となら、温かくて優しい家庭が築ける。俺と…結婚してくれないか?」
すぅ…、と、涙が頬を伝うのを感じながら…
私は、
「はい…私で、よければ…」
と答えた。
(紫苑様リク)
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雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきます!御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ! (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します! (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね!?できるならお願いします!! (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д`)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ!鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年2月4日 22時