真田俊平【結婚記念日】 ページ7
「…あーあ…」
ふぅ、と、1人寂しくため息をつく。
今日は私と俊くんの、2回目の結婚記念日。
本当は2人でゆっくりお祝いをするはずだったんだけど、俊くんに急な出張が入ってしまい、明日の昼まで帰ってこない。
こればっかりは仕方ないし、明日改めてお祝いしよう、ってことにはなってるんだけど…
それでもやっぱり、今日という日を1人で過ごすのは寂しいなぁ…
なんて、ソファーでクッションを抱えていた夜の10時過ぎ。
ガチャッと玄関が開く音がして、泥棒でも入ってきたのかと一瞬ヒヤリとする。
でも、私は確かに鍵をかけていたはずで、それが開いたってことは…
…まさか…!
ある予感を胸にバタバタと玄関に向かうと、そこには上がり框に腰を降ろし、肩で息をしている大きな背中…。
「…し…俊…くん…?」
呆然としながら呼び掛けると、俊くんは座ったまま振り返ってニカッと笑った。
「…よぉ。ただいま…」
荒い息を繰り返しながら、「キッツ…」なんて言ってるけど…
…え?
…は?
「…俊くん…どうして?出張、明日までじゃ…」
状況が理解できずにいると、俊くんは靴を脱ぎながら説明を始めた。
「向こうでの仕事が早目に終わったからさ。帰れそうだったから、帰ってきた。」
「そ…そうだったんだ…」
「しっかし、久々に全力疾走するとキッツいわ。昔はこれくらい大したことなかったんだけどな。」
ハハハッと笑いながら俊くんは私に近付いて、ガサッとコンビニの袋を掲げてみせる。
「…で、帰ってはきたけど、この時間じゃコンビニぐらいしか開いてなくてさ。バナナ買ってきた。」
「…バ、バナナ?」
なんでバナナ…?
と、頭に?マークを浮かべていると、俊くんはニッと笑いながら私の頭をポンポンと叩く。
「せっかく記念日当日に間に合ったんだからさ…ホットケーキでも焼いて、コイツをキャラメリゼして即席パンケーキでも作ろうぜ。」
「…え…嘘嘘嘘、作ってくれるの!?」
「おぅ。」
「凄い!!嬉しい!!…あ、でも、俊くん帰ってきたばっかで疲れてるのに…」
「疲れ?…あぁ…じゃあ…」
そう言うと、俊くんは空いている方の手をスッと私の後頭部に回して…
ふわっ…と、優しいキスを落とした。
「…これで疲れも吹っ飛んだわ。」
得意気なその笑顔は、もうズルいくらいカッコよくて…。
それから私達は、キッチンでパンケーキを(9割方俊くんが)作り、ささやかなお祝いをしたのでした。
(サク様リク)
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雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきます!御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ! (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します! (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね!?できるならお願いします!! (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д`)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ!鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年2月4日 22時