伊佐敷純【ファーストキス】 ページ17
ずっと片思いしていた1学年上の伊佐敷先輩との関係が、ただの部員とマネージャーからカレカノに変わったのがおよそ1週間前。
部活が終わり、初めて先輩に駅まで送ってもらうことになったこの日、ありきたりな会話をして笑いながらも、私は焦りと緊張で吐きそうになっていた。
なんだかんだで、この関係になってから2人で並んで歩くのはこれが初めてで…。
「…あ、そういえば、先輩ってペット飼ったことあるんですか?」
「あー…昔は犬飼ってたな。」
「え?犬ですか?何犬ですか?」
「なんだったっけなアイツ…雑種だったんじゃねーかな…」
「あ〜、子供の頃って、犬種とかあんまり気にしませんよね〜。」
あははは、とまた笑うと、伊佐敷先輩はチラリと横目で私を見て、小さく息をつく。
「…あのよ、水沢…」
「はい、なんですか?あ、もしかして私、歩くの遅いですかね?」
「いや、そうじゃなくて…」
「足短くてすみませ〜ん。もうちょっと身長欲しかったんですけど、小学5年生で成長止まっちゃって〜。」
もし会話が途切れたら…という不安から、私はベラベラと喋り続ける。
だって…
沈黙って、気まずくなっちゃいそうで怖くて…。
先輩にも気を遣わせたくないし、ここは私が会話を弾ませるべきだよね…?
「あ、でも身長変わってないってことは、今ランドセル背負っても小学生に見られますかね〜?」
「おい…」
「もし仮に小学生に見られたとして、それって喜んでいいんですかね?悲しむべきですかね?先輩はどっちだと___」
「だあぁ!ったく…!」
…と、不意に一言吼えて伊佐敷先輩が立ち止まり、釣られて私も足を止めて振り返ったら
タンッ…と、顔の横に先輩の腕が伸びてきて、後ろの壁に手のひらをつける音がして
ビックリしている間に先輩の顔が近付いて
フワッ…と…唇が重なる感触…。
…え…?
「…お前…ちょっとは俺の話を聞けって。」
目の前には、真っ赤になった伊佐敷先輩の顔。
「…せ…せんぱ…」
「無理に喋んな。空回ってんじゃねーよ。」
不意打ちのキスに頭が真っ白になっている私に、先輩は呆れたように続ける。
「会話がなくたって、お前と一緒にいるなら…それはそれでいい感じの時間になるんだからよ…」
相変わらず真っ赤な顔で、目を泳がせながら言った先輩のその言葉が…
心を、撃ち抜いた。
「…先輩…どこであんなキスや殺し文句を…あ、漫画か。」
「おぉぉい!1人で納得すんな!」
(のり様リク)
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雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきます!御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ! (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します! (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね!?できるならお願いします!! (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д`)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ!鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2017年2月4日 22時