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御幸一也【プロポーズ】 ページ2

「今年のプレゼントはもう渡してあるからな。」

「……へ?」

高校の同級生だった一也と付き合い初めて7年目、お互い25歳のクリスマスイブ。
私の部屋でシャンパンを飲みつつ夕食を楽しんだ後、さらっと告げた一也の言葉に、私は間の抜けた声を出してしまった。

…もう渡してある、って…

全く記憶にないんだけど…

ポカン、と固まっていると、一也は机に頬杖をついてニッといたずらっぽく笑う。

「まぁ、クリスマスプレゼントになっちまったのは偶然だけどな。」

「…ごめん、全くわかんない…」

「他のアクセも置いてあったから、あそこなら気付くと思ったけど…お前、あんまり指輪付け替えたりしねぇのな。」

一也のその言葉に、私はハッとある可能性に気付いて思いっきり目を見張った。

…アクセや指輪って…まさか…!

そのままバッと部屋の隅の化粧品やアクセサリーを置いてある所へ急ぎ、青い小さな円錐のリングホルダーへ目を向ける。

そこには私が自分で買ったファッションリングが数個かかっているはずで…

でも、久しぶりに見たその場所には、覚えのない、キラキラと光り輝く立派な宝石がついた指輪が…

「…うそ…」

暫く呆然とその指輪を見つめたあと、私はギクシャクと一也を振り返った。

「…これ…いつ…?」

「前回ここに来た時。」

…と、ゆっくりと立ち上がりながら一也は答える。

前回…ってことは、秋季キャンプの前だから…2ヶ月くらい前ってこと…?

「いやぁさすがに2ヶ月も気付かねぇとは思わなかったわ。」

はっはっはっ、と笑いながら、一也は私の隣に立つ。
そしてリングホルダーで光を放っていた指輪を取ると、ゴホン、と咳払いをしてから私に向き直り…私はようやく事態を理解して、ドキンバクンと心臓が暴れ始めるのを感じた。

「なぁA…俺、シーズン中はほとんど家に帰れねぇし、お前には色々苦労や心配かけると思う…それでも…いいのか?」

躊躇いがちに私の様子を窺う一也は、珍しく黒縁メガネの奥の瞳を泳がせていて…

「…今さら…何言ってんの…!」

熱い気持ちで胸がいっぱいになりながら答えると、一也はフッとその瞳を和ませた。

「…そう言うと思った…じゃあ…」

一度手の中の指輪に目を落として

再び真っ正面から私を見下ろして、僅かに赤い顔で一也は言う。


「結婚、すっか。」


「……はい。」


無意識のうちに涙が溢れた私の左手を取り、一也は輝く指輪を薬指にはめてくれた。

倉持洋一【敬語禁止令】→←リクエストについて(必読)



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雪星(プロフ) - 出雲さん» 出雲様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきます!御幸編と小湊兄弟編で分けて書かせていただきますね(>_<) (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 乙葉さん» 乙葉様、返信が遅くなり申し訳ございません!今さらですが、リクエスト受けさせていただきますのでもう少々お待ちくださいませ! (2018年1月23日 22時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
出雲 - いつも雪星様の作品、楽しく読ませていただいております。倒れた夢主を心配しまくる過保護な御幸と小湊兄弟のお話が読みたいです。難しいとは思いますがどうかよろしくお願い致します! (2017年12月13日 4時) (レス) id: 888639fabb (このIDを非表示/違反報告)
乙葉(プロフ) - リクエストお願いしたいんですけど・・・倉持くんが彼女をからかって返り討ちにされるというリクエストなんですけど・・・ちょっと難しいですかね!?できるならお願いします!! (2017年11月26日 17時) (レス) id: 0b1b7fbed3 (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - 雪星さん» あわわわわヽ(;´Д`)ノごちそうさまでした笑いつき可愛すぎかよ!鳴ちゃん邪魔しにこなかったらどうなっていたのか…。ニヤニヤありがとうございます笑 (2017年11月22日 22時) (レス) id: 85da798f24 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪星 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年2月4日 22時

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