【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室６《短編集》

【倉持洋一と水騒動】★ ページ19

そろそろ帰ろうとマネージャー室で制服に着替えていると、部屋の外が騒がしくなってきた。
着替えを終わらせて外に出てみたら…

1年生5人が、外の水道で水をかけあって大騒ぎしていた。
…小学生か。

「…ったく。ほどほどにして早く着替えなさいよ、風邪引くからー！」

そう声をかけると、「はい」とか「すみません！」とか口々に返事が返ってくる。
その時、近くを通りかかった倉持を沢村が発見し、ニヤリと笑って蛇口を手で塞いで水を倉持の方へ飛ばした。

「倉持先輩！お覚悟！」

「…は？って、ぅわ！テメェこら沢村！」

ギリギリで避けた倉持が沢村を睨み付けた時、沢村の手がズレて、水が飛ぶ方向が変わり、こっちへ一直線に…

…は？

バッシャアァァ！

「げっ！」

ポタ…ポタ…と、髪から滴が垂れる。

…おのれ…！

「さ〜わ〜む〜ら〜！」

「す、すみませ……あ……」

ギロリと沢村を睨みつけると、沢村は慌てて謝ろうとして…途中で固まった。
私の胸元を見たまま、ボッと顔が赤くなってくる。

…何？
…そういえば他の1年生も、目を泳がせてたり固まってたり…

状況がいまいち理解できずに私も固まっていると、突然バフッと頭からタオルを被せられた。

「テメェらは早く散れ！！」

「は、はいっ！」

暗い視界の中、頭の上から倉持の声が響き、バタバタと1年生達が去っていく足音がする。

それから、ワシワシと頭を軽く拭かれたあと、バサッとそのタオルが肩にかけられた。

「…着替え…持ってますか…？」

見上げると、耳まで真っ赤になった倉持が眉間に皺を寄せ、なぜか横を向いて話しかけてくる。

「着替え…？」

「…っ、だからっ…！す…透けちゃってるんすよ…！」

ギュ…と、私の首もとでタオルを握ってる倉持の手に力が入り、視線を胸元に落とした私は…ようやく状況を理解した。

濡れたブラウスが肌に張り付いて…下着が、透けて…

「あ…！」

カァッと、顔が熱くなってくる。

そ、そうか…！
それでさっき、1年生達が固まってたんだ…！

「…どうしよう…ジャージ、汗と汚れが酷くてさっき水洗いしちゃった…」

呆然と呟くと、ズイッと目の前に何かを差し出される。

「…ちょうど、風呂に行こうとしてたとこだったんで…！」

横を向いたままぶっきらぼうに倉持が言い、改めて差し出されたものを見るとそれは倉持のTシャツで…。

「…あ…あり…がと…」

おずおずと受け取ったTシャツからは、ほのかに柔軟剤の匂いがした…。


(千尋様リク)

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