【二年生の場合・壱(4)】 ページ5
「ったく失礼極まりないんだから…」
一年生ズを追い出してからブツブツ呟いてたら、またドアがコンコンとノックされた。
「はーい。開いてますよー。」
…と、声をかけたら…
「ヒャハハハ!うるせぇ声が聞こえると思ったら、やっぱAさんっすか!」
「一年達とえらく騒いでましたね。」
入ってきたのは、倉持と御幸だった。
「…騒いでたっていうか…失礼な後輩達に一発ブチかまして…」
「…Aさんが『ブチかます』って言うと、頭カチ割られそうっす。」
「倉持!」
「その一発で人生強制終了になっちまいそうだよな。」
「御幸!ってかここにもいたわ失礼な後輩が!」
…と、眉間に皺を寄せながらそう言った時。
コンコン、と改めてドアがノックされ、三人揃ってそっちに視線を向けたら…
「失礼しますー!」
そう言ってドアを開けて…
千鳥格子のズボンにピンクのカッターシャツ、赤い蝶ネクタイを付け胸ポケットにはグラサンを引っかけ、ハンチング帽を被った前園が、現れた…。
「「「……………。」」」
「…あれ?Aさん?…っちゅうかお前らも来とったんかい。」
前園にとって私達は予想外のメンバーだったらしく、意外そうな顔をしてるけど…こっちはとにかく言葉が出てこない。
…どこからどう突っ込めと?
「…ま、まぁな…で…ゾノ、お前は何しに来たんだよ?」
最初に言葉を取り戻したのは倉持で、敢えて前園の服装には触れずに聞く。
「あ、あぁ…大した用事やないんやけどな。マネ達がまだおるかなー、と…」
「マネ?」
「いや、別にそんな期待とかしてへんからな!たまたまや!たまたま通りかかって、ちょっと声かけようかと思っただけで…」
「「「……………。」」」
…いやいやいや。
明らかにレベルMAXでチョコ期待してるじゃん。
もう呆れるのを通り越して尊敬の眼差しで前園を見てたら、倉持が額を押さえながら口を開く。
「あ、あのなぁ、ゾノ…気持ちはわからなくもねぇけどよ…」
「気合いがダダ漏れして…」
「こら御幸!」
真実を指摘しようとした御幸の口をバフッと塞ぎ、私は話題を変えることにした。
「そ、そうだ〜、ちょうど良かった!私もみんなに渡すものがあってさ〜。」
「わ…渡すもの!?」
途端に前園の目がキラキラと輝き始める。
うわぁ…このタイミングで渡すのイヤだなぁ…。
顔を引きつらせながら、私は紙袋からチョコを二つ取り出した。
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時