【成宮&原田&多田野と愚痴(3)】★ ページ30
「なーんでもないよ!ケチな雅さんが、今日も完投させてくれなかったって話をしてただけ!」
「…やっぱりそれを愚痴りに来てたのか…」
呆れた眼差しで成宮君を見つめながら、原田君は部屋の中に入り、成宮君の近くへと移動する。
「だって!せっかくパーフェクトペースだったのにさ!なんであそこで変えるワケ!?」
「言っただろう?試合の中で、色々と試してみたい作戦もあるんだ。控えの奴らの経験値も上げなきゃならねぇ。」
「そうかもしれないけどさぁ…!」
「それにな、鳴。」
珍しく原田君が成宮君のセリフに被せて言葉を続ける。
「お前が完全試合を達成させるのは、チンケな練習試合なんかじゃダメだ。それ相応の舞台ってもんがある。」
「…え…」
「…華のあるエースには、それこそ観客で溢れかえる甲子園がお似合いだろ。」
真面目な顔で原田君は成宮君を見下ろし、その成宮君は、目を丸くして原田君を見上げている。
…うーむ…これは…。
「…華のある…エース…」
その単語をボソッと繰り返したあと、成宮君はギュッと両手を握り締めて俯いた。
「…樹…帰るよ…」
「え?あ、ちょっと、鳴さん!?」
そのままスタスタと部屋を出ていく成宮君の耳は…ちょっと赤くなってるように見えた。
「えと、あの、すみません月原さん、失礼します!」
そう言って、多田野君も成宮君を追いかけて出ていく。
部屋に残された私と原田君は、そのまま暫く無言で佇んで…。
「…さすがだね、原田君…」
「…何の話だ?」
「成宮君の扱いに長けていらっしゃる…」
「伊達にバッテリー組んでるワケじゃないさ。」
「でも、アレだね、たぶん、だけど…」
ふむ、と顎に手を当てながら、私はさっき感じたことを言ってみた。
「成宮君、ちょっと調子に乗ったかもね。」
すると、原田君は少しの間黙ったあと、チラッと視線を投げてきた。
「…やっぱり…そう思うか…?」
「『華のあるエース』は、ドストライクだったと思うな〜。」
ニコッと笑いながら言うと、原田君は片手で口元を覆い、最大級のため息をついた。
「…くそっ、少しだけ機嫌を取ろうと思っただけなんだが…やりすぎたか…!」
「我が儘エースの女房役も大変だねぇ。」
「…月原…早くウチに転校して来い…そして鳴を頼む…」
「ヤだ♪っていうか無理♪」
ニコニコしながら答えると、原田君はもう一度深い深いため息をついた。
(セロウ様リク)
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時