【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室４《短編集》

《番外編》【倉持洋一と買い出し】 ページ25

※倉持視点
＿＿＿＿＿＿＿

「…よし…あとは…」

「まだあるんすか？」

ウィーン、と自動ドアから出ながら買い物メモに目を落とすAさんに、両手にビニール袋を提げた俺はうんざりしたように言った。
くっそ…なんであの時マネージャー室に行っちまったんだ、俺…。

「あとちょっとだよ。えっと…そうそう、『ダーリンの詰め合わせ』。」

「はあぁ？」

素っ頓狂な声を出した俺に、Aさんは笑いながら説明する。

「沢村語録。紅茶パックと茶菓子の詰め合わせ、っていう伝言が、沢村の頭の中で一体化したみたい。」

「…相変わらず無茶苦茶っすね、アイツ…」

バカの思考回路は理解できねぇ。

そう思ってため息をついた時。
さっき出てきたドラッグストアからざわめきが聞こえて振り返ったら＿＿＿

「待ちなさいっ！こらっ！」

自動ドアが開き、一際大きい声が響いて、一人の金髪の男が走り出てきた。
なんだ？…まさか…

「そいつを捕まえてくれ！万引きだ！」

自動ドアから姿を見せた店員がそう叫んで…あぁ、やっぱりか。
幸か不幸か、その金髪野郎はこっちへ向かって走ってくる。
…その時。

「倉持…」

と俺を呼ぶAさんの声が聞こえた。
チラッと目を向けると、Aさんも真っ直ぐ金髪野郎を見ている。

「わかってます…」

やれやれ、と思いながら、俺は両手のビニール袋を握り直し…走ってきた金髪野郎の、着地したばかりの片足をバシッと右足で払ってやった。

「ぅわっ！？」

バランスを崩した金髪野郎の真横から、今度はAさんの足刀蹴りが決まる。

「ふぐっ！」

バァンッ！

と、コンクリートの壁に叩き付けられた金髪野郎は、そのままずるずると地面に倒れ込んだ。

ふぅ…。
ここまでやっときゃ、あとは店の人が警察呼ぶなり何なりしてくれんだろ。
面倒事にならないうちに、さっさと帰っ…

「倉持！」

「っおわ！？な、何すか急に！」

ガシッ、とAさんに手を握られて、色んな意味で鼓動がバクバクと早くなった。

「私達って、相性抜群のコンビだと思わない！？」

「…は？」

「だって！さっきのは阿吽の呼吸のコンビネーションだったよ！？」

「そ、そりゃまぁ…」

「卒業したら、倉持と悪者退治屋でも始めようかなぁ。」

「…悪者退治屋って…ネーミングセンスのかけらもねぇ…あと俺を巻き込むのやめてくださいよ…」

はぁ、とため息をつきながら言ったけど、目をキラキラさせてるAさんは全然聞いてないみたいだった…。

【成宮＆多田野と『たま』(1)】★下ネタ有(^^;→←【沢村栄純と伝言】

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