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STORY.2 ページ2

「アーヤ。

いつか言うって約束したの、覚えてる?」

秀明からの帰り、私は翼に呼び出されていた。

「話したいことがあるから。」って、昨日の夜、

電話で言われたんだ。

目の前には、少し不安そうな表情をした翼。

でも、その瞳には強い光が宿っていて、真剣な話だって

ことが、ヒシヒシと伝わってくる。

私は一瞬、なんのことか分からず、キョトンとしてしまっ

たが、すぐに答えに辿り着いたんだ。

『カレンダー吸血鬼』の爆発の中で、翼が私に言った、

あの言葉。

その時は聞き取ることができなかったけど、

翼が「必ず話す」って、その後に言ってくれたんだよね。

「うん、覚えてるよ。」

あの日の翼にどことなく違和感を感じていた私には、

とても印象に残っていて……。

すぐに導き出すことができたんだ。

私の返答に安堵した翼は、そっと息を吐いた。

かなり緊張しているみたい。

「……あの時アーヤに言ったのは、ね。」

少し俯いていた翼はふっと目線を上げ、綺麗なブルーの

瞳に、私の姿が映し出される。

その引き込まれそうなほど澄んだ瞳に、私は息を呑んだ。

なんだろ。

「ーー…俺、アーヤのこと好きだよ。」

えっ……。

頬が赤く染まっていくのがわかる。

うそ……。

私は信じられなくて、瞬きを繰り返す。

翼は羞恥心に耐えられなくなったのか、フイッと横を

向いてしまった。

でも、髪の隙間から見えた耳は真っ赤で……。

「私、も……」

思わず、本音がこぼれ落ちたんだ。

あ、しまった。

後悔した時には、もう遅くて……。

翼の「信じられない……」という言葉が、静かな空間の中

に響いて、私の耳まで届いてしまった。

だけど、一度栓を抜いた気持ちを抑えることは

できなくて……。

「翼の、恋人になりたい……です。」

気づいた時には、そう口にしていたんだ。

翼はクスッと天使のような笑みを浮かべたかと思うと、

「それは俺から言わせて欲しかったな。」

と言って、私を抱き寄せてくれた。

初恋が実った喜びと、まだ信じ切れていない不思議な

気持ちとが入り混じって、私は泣いてしまった。

翼は最初戸惑った様子だったけど、さすがと言うべきか、

「好きだよ。」

と言って、そっと頬にキスをしてくれたんだ。

突然の出来事に私の涙は何処かへ行ってしまった。

代わりに……

「えっ……え!?」

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設定タグ:探偵チームkz事件ノート , 美彩 , シリアス?   
作品ジャンル:恋愛
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華花 - そんなことない。とっても面白かったよ!! (2023年1月9日 20時) (レス) @page8 id: e91cbbbf82 (このIDを非表示/違反報告)
いちいちか - あんまりだなーって感じです。これから頑張ってください!!!!!!(´・ω・`) (2022年8月19日 14時) (レス) @page6 id: 6983203fad (このIDを非表示/違反報告)
叶優 - 水無月歌乃@しばらく浮上無しさん» ありがとうございます! (2022年8月4日 18時) (レス) id: 551c9caaf5 (このIDを非表示/違反報告)
よや - OK (2022年8月3日 22時) (レス) id: bd8fc734b1 (このIDを非表示/違反報告)
叶優 - よやさん» はい。短編なので、これで完結です。……が、気が向いたら番外編も出そうかなって思ってます! (2022年8月3日 22時) (レス) @page5 id: 551c9caaf5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:叶優 | 作成日時:2022年8月3日 19時

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