ハコヅメ＊６

・成　長 ページ17

No side

翌日の町山交番。

伊「川合くん。さっきの事案の報告書って…」

川「ここに置いてあります。」

伊「早いね。あっ、昨日の自転車盗難の…」

川「これです。お願いします。」

全て言い終わる前に書類を手渡す川合に
伊賀崎は驚いている。


川「藤さん、Aさん。
　 この辺の書類、私一人でやるんで、
　 休憩してください。」

藤「おぉ。」
『ありがとう…。』

伊「藤くん、Aくん、
　 川合くんのレベルが爆上がりしてる。」

藤「みんな最近川合を褒めすぎです。」

『調子に乗ると
　宮原部長の時みたいにしくじるよ？』

川「大丈夫です。
　 藤さんとAさんの師匠には
　 二度とあんなヘマしません」


伊「よし！川合くんに大事な仕事を
　 お願いしよう！」

と、立ち上がった伊賀崎は
あるポスター見せる。

そこには、
〔町山子ども会防犯教室〕と書かれている。

伊「これ、外の掲示板に貼っといて」

川「こども会？」

伊「来週ね。

　 そうだ！三人にさ、
　 子供達への防犯教室お願いしていい？」

藤「嫌です。私子ども苦手なんで。」

『即答ですね。』笑

伊「そんなこと言わないで。
　 私みたいなおじさんが行くより
　 3人が行った方がみんな喜ぶでしょ。」

藤「ハコ長、
　 女性警察官だから
　 子供好きだとか優しいだとか
　 そんなの決めつけです。

　 私はこういう世界観が大嫌いなんです」

と、藤が指差したのは、
子供と女性警察官が肩を組むポスター。


藤「そもそも子供が好きで
　 優しくてまともな女が
　 警察官になるわけないじゃないてすか。」


伊「藤くん。
　 それは全国の女性警察官に謝ろう。」


『そうですよ。私は子供好きだし、
　人並みに優しいつもりです！』


川「私、やります！」

　
伊「本当？」


川「はい、私も子ども好きなんで。」


藤「じゃあよろしく。」


川「私紙芝居とかやろうかな。」


伊「いいじゃない！みんな喜ぶよ。」


『紙芝居は手伝えないから、
　川合ちゃんに任せた！』


川「任されました！」


そこへ無線が響く。


《本部から町山ー。町山東通りで
　車一台による単独事故発生。現場に向かえ。》


『事故…。』


川「藤さん、Aさん、行きましょう！」


張り切って走り出す川合。

そのやる気に驚き、
思わず目が合う藤とA。

３人を見送る伊賀崎は、

「いつもと逆。成長したねぇ。」と、

嬉しそうに川合の後ろ姿を見つめていた。

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