Act.11 皇 天馬 ページ12
『あ〜…風が気持ちい…』
天「アンタ、見ない顔だな」
『え…？皇天馬？本物？』
晩ご飯の時間まで中庭で自主練に励もうと思った矢先、見たことのない顔を見つけた。
かなり端正な顔立ちをしているが、こんな奴芸能界にも寮にもいただろうか。
俺は記憶にある限りの知り合いを思い返して見るが、どの奴にも当てはまらない。
天「本物の皇天馬だ。それよりアンタは？ここにいるってことは劇団関係者か？」
『住み込みで働くことになった三浦Aです。どうぞよろしく』
天「そうだったのか。こちらこそよろしくな」
軽く挨拶を交わしたところで、俺は自主練に取り掛かる。
その様子を見ているAが、興味津々といった感じで言った。
『ね、もしかして今からお芝居するの？』
天「芝居っていうか、ただの自主練だ」
『見ててもいい？』
構わない、と言うとAはやけに嬉しそうに笑った。
その笑顔に少しドキッとしたが、俺は気を取り直して自主練に入った。
ーーーーー
キリの良いところでふと、Aの方を見ると、じっと俺のことを見ていた。
なんだか照れくさくなり、話題を放り投げてみる。
天「そういやアンタは芝居しないのか？」
『ん、俺？しないしない。大根だし』
天「ほんとか？そうは見えないが…」
俺はそうだ、と思いつき、Aにこう言った。
天「アンタも芝居、やってみてくれよ」
ーーーーーー
お題は無し。好きにやって見せてくれ。と言ってから数分ほど経ち、何をしようか決めたのか、Aは小さく『いいよ』と呟いた。
天「よーい、スタート！」
『…』
スタートしてから数秒間うつむいたまま黙り込んだAは、突然顔を上げて俺に近づいてきた。
『…なぁ、俺じゃダメなのか？』
切なげな目をしたAが俺に言葉を紡ぐ。
先ほどとは打って変わった雰囲気に、思わず飲まれそうになる。
『…そっか。わかった』
目を伏せてうつむき、悲痛な表情をする。
心なしか、瞳が潤んでいるように見える。
『でも、これだけは言わせて』
そういうと俺の顎を優しく持ち上げ、
『必ず、迎えに行くから』
そのとき、俺の中の何かがブワッと湧き上がった。
感じたことのない高揚感のせいで、身体中が熱い。
『…これでどうかな？』
天「えっ…あ、あぁ、まぁいいんじゃねーの…」
俺は耐えられずにぶっきらぼうに感想を述べると、その場を後にした。
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みうら(プロフ) - ゆうさん» ありがとうございます！不定期更新にはなりますが頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月5日 3時) (
レス) id: 35ea4b997f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 面白いです。続き楽しみにしてます。頑張ってください！応援してます。 (2018年7月5日 1時) (レス) id: a38a23f7c7 (このIDを非表示/違反報告)
み(プロフ) - めぐりさん» ありがとうございます！これからも更新頑張ります。どうぞ宜しくお願いします。 (2018年7月4日 20時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
めぐり - 大好きです！応援してます！ (2018年7月3日 21時) (レス) id: 993c3cdf12 (このIDを非表示/違反報告)
みうら(プロフ) - なかやさん» 閲覧・コメント・応援ありがとうございます。もっと楽しんで頂けるように頑張ります。これからも応援よろしくお願いします◎ (2018年6月25日 17時) (レス) id: 883feb171c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：上原 | 作成日時：2018年6月22日 20時
