溺愛される鬼少女② (ページ23)

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新しい覚悟④ ページ23

「きっ、た…」

久しぶりの感覚。
手が震えるこの感覚。

いくら人を喰う鬼と言えど生き物。
私と同じ…

「A！！！」

大きな声で名前を呼ばれて振り返れば息を切らした実弥さんがいた。

「さ、実弥さん」

私の声を聞いた瞬間、泣きそうな顔でその場に崩れ落ちた。

「…大丈夫ですか！？」

急いで駆けつけると、弱々しく、でもどこか強く私を抱きしめてくる。

「よかった、本当にお前は…馬鹿野郎ォ」

「！？」

急な悪口にびっくり。
え？そんなことある？

「すまねェ、俺を許してくれ」

驚きで背中に回せなかった腕をやっと実弥さんの背中に回した。

「…何を謝ってるんですか」

ごめんなさい。何も分かりません。
とりあえずかっこつけとこうと思う。

「疑った。信用しなかった。俺はァ…」

なるほど、そういうことね。

「私記憶力乏しいので！」

ちょっと笑わそうと思ってそう言ったけど、実弥さんの顔は「は？」って感じでね…

「嘘ですごめんなさい」

とりあえず私が悪かったです。

「本音は寂しかったです」

「…」

「でも、戻ってきてくれるって信じてました」

そう言うと今にも泣きそうになりながら実弥さんは笑った。

「A」

また後ろから声が聞こえて振り向くと、走ってきたのか息が切れてるしのぶさん。

「ごめんなさい」

そう私に言った。

「ええ！？どうしてですか！」

急に謝られてびっくり。
急いでしのぶさんに駆け寄る。

「一瞬でも他の鬼と一緒にしてしまった…」

「しのぶさん…」

「でも、あなたは違ったのに。命をかけて屋敷を隊士たちを守ってくれてありがとう」

ぎゅうっとしのぶさんを抱きしめた。

「しのぶさんにもらったものと比べたらなんてことないです」

少しだけ涙を流したしのぶさん。
…美女の涙は綺麗だな。なんて思う私は変態ではないです決して。

「A…！」

その後、アオイたちにも抱きしめられて
みんながわんわん涙を流すのでなんだか私も泣けてきたけど泣かなかった。

幸せだな、この幸せを守る側になりたい。
もう一度。