大好きな智と。

初雪。 ページ33

「わあっ、初雪だあ。」
こんな日は、付き合い始めた日を思い出す。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「大野さんって、どんなタイプが好きなんですか？」

「え、俺………ですか？」
前は、少し皆と個性を変えようとして、ガツガツいってた。
でもそれが逆効果だったみたいで。
逆に嫌われてたみたい。
「わがまま言わない子＿＿＿ですかね。って、何言ってんだ俺。」

「いえ、参考になります。」

「なんの？」
それだけで、十分だった。
話せるだけで感じる喜び。
翔さんから聞き出したスマホの番号とかで話せる嬉しさ。
好きだなぁとつくづく感じる。
考えるだけで胸がきゅってなる。
他の子と共演してると、その子になりたいとか、私が共演したいとか思う。
だけど、いざ話すとなると、緊張して泣きそうになり、後から“こうしたらよかった”と後悔する。
露骨なアピール。


小さなことでいい。


話せたら、それでいい。


すきになってほしい。


もっと知りたい。


いつかは逆になる思い。


大きな事を語りたい。


もっと話していたい。


もっと好きになりたい。


もっと知ってほしい。


いつかは不安になる思い。


所詮ファンなんだ。

もう無理かも。

諦めようかな。

でも。
やっぱり。


「好きなんだ。」

「え？」
突然言われたその言葉。
「私だって。」
照れ笑いしながら返すその言葉はきっと


震えていたんだ。

やっと思いが実った。
頑張ってよかった。
あの時、諦めなくてよかった。


好きでいてよかった。


「雪だ。」
9時に呼び出されたはずなのに、
時刻はもう10時30分をまわっていた。
気づいたら頰を伝う暖かな液体。

強くハグされる。
「やっと。照れずにハグできた。」

「なにそれ………………」

「大事にするから。」

「うん。」


これからも、大事にする。
大事にしてもらいたい。


ずっと

ずっと。

これからも。





大好きでいるから、


大好きでいてね。

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