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するとつまり鎌先さんたちが商人で。あとのメンバーはおいおい紹介してくけど、という笹谷さんの声がする。
「今日、実は遠方まで行ってたうちの村の連中が帰ってくる予定でな」
「……お二人のことではなくて？」
「違う集団があんだよ。そいつらが戻ってきた時のために、こんなパーティー開いてんだ」
ああ、だから。と納得した。
私達乞食二人を拾っただけで、ふつうこんなにたくさんのご馳走が出てくるわけないもの。
影山さんが骨付き肉を食らっている横で、私は二人に訊いた。
「村の人口って、これで全員なんですか？」
「もうちょっといるよ。だいたいこれで全部だけどな」
「へえ……皆さん、仲いいですね」
「小さな村だからこんなもんだよ。ま、到着してないのに飲み始める奴等ばっかりだけどな」
かっかと鎌先さんが笑う。奥では舞さん達が慌ただしく動いていた。
それにしてもスープのあたたかいこと……と、感動していたその時。
バーン、とでっかい音を立てて扉が開いた。……え、何？
扉を開けて立っていたのは若い男の人。うっすらと汚れた服装で、その奥にも人が見える。
「見てくださいよ茂庭さん！ ぜってぇ誰も止めなかったヤツですよ!?」
「こら二口、皆だって待っててくれてたんだから」
「誰も待ってねー！」
次の瞬間、どっと部屋中が沸いた。
鎌先さん笹谷さんもいつのまにか消えている。どうやら彼らは待ち望んでいた(?)連中らしく、荒っぽい歓迎を受けている。
「おっせーぞ二口、料理が冷めた！」
「うわ酒臭ぇ！ 冷める前から食ってる奴が言うなよソレ!!」
「茂庭ぁーお疲れ様」
「あはは、ただいまみんな……」
熱烈な歓迎ぶりだ。全員が押し寄せているせいで、彼らが中に入って来れていない。
本当に仲いいんだなぁ……あ、この付け合わせ美味しい、と背中の数々を眺める。
途中で気がついて、こそっと影山さんに話しかけた。
「影山さん、師匠の性格どうしますか」
「あ？ 昔気質な頑固師匠でいいんじゃねえか」
「モデル誰にします？」
「モデル……」
ふと黙った影山さんは、別に、と小さな声で言った。
「誰でもねぇよ」
そっか、誰でもない、……と。
「あとはまあ、バレないようにするだけですか」
「……だな」
彼は微かに頷いた。
この、このあたたかい空間の中に――。
きっと、はぐれ者の大王の元部下なんて、本当はいてはならないはずなんだから。
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作者名：スマトラ島のラフレシア | 作成日時：2016年8月1日 18時
