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影山さんの腕なら不可能ではないけど、……確実に論外。うん。
というわけで第二案――はなかったことにしよう。いくらなんでも恐ろしすぎる。
すると、日向さんが「あ、じゃあ」と思いついたのか研磨さんの顔を見る。
「研磨、なんかヒナガラスを引っ張ってこれそうな呪文とかねぇの?」
「そんな便利なものないよ……」
「あいつに呪いをかけて、操ってここまで来させるとか」
「まず白魔術の領域じゃない」
第三案もあえなく崩壊。……最初から期待はしてなかったけど。
それにしても、とまた上を見上げる。なんだかどんどん小さくなっているように見えるヒナガラスは、見ているとだんだん虚しくなってくる。
もういいだろ、と影山さんが言った。
「打つ手がねぇんだから、これ以上ここにいたって意味ない」
「あっ! じゃあ、おれのこのジャンプで上まで――」
「話聞け!!」
影山さんも大概話聞かないですけど――ぼんやり失礼なことを考えていると、横で日向さんが軽くジャンプを始めた。研磨さんがぎょっとする。
「日向、何して……」
「こう、助走をつけでビュンッと――」
「ちょっと待って、」
私達の静止も聞かず。
日向さんは数歩後ろに下がると、木の正面に向かって走り出した。
手前で跳躍する――はず、だったのに。
「っうわっ!?」
目測見誤ったのか、はたまた木が高すぎたのか。
日向さんは奥の茂みに向かって落ちて行った。あああ、と言う声が研磨さんとハモる。
日向さんの叫び声が聞こえて、姿が見えなくなる直前、大きな人影が見えたような気がした――。
慌てて駆け寄った私達三人は、茂みを覗き込んでぎょっとすることになる。
「イテテ……あ、おれなら大丈……え?」
後頭部をさすりながら上体を起こした日向さんの、――下には。
彼の下敷きになって、空を睨みつけている――大柄な男の人がいた。
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時