【FHQ】荒野往く旅路【影山飛雄】 (ページ26)

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「……鳥？」

「鳥は鳥でも、」

目を凝らして「ソレ」を見た。ほとんど葉の中に埋れているソレは、時折弱々しくピィピィ言いながらパタパタと羽を動かしている。

黒、オレンジ。――たぶん、

「ヒナガラス、ですかね」

「モンスター？」

「ではなかった、はずです」

だから放っといてもいいはずなのだけど、気になるのは。

「……弱ってない？」

研磨さんが呟いた。同感だ。

もっと丸々していていいはずなのに、シルエットだけでも弱々しい。そして鳴き声が重なり、まるで、死にかけ……。

「……行くぞ」

「あっちょっと待てよ影山!! 何で無視すんだよ!?」

「あんなのに構ってる時間が無駄だ」

「助けてあげようとか思わねぇの!?」

助けて、か。

少しそれは思ったけど、でも別にいいかと諦める気持ちがあった。が、日向さんと研磨さんはそうではないようで。

パタパタと健気に羽ばたこうとするヒナガラスに、視線を向けている。

「助けるっつったってどうすんだよ」

「それは……これから考える」

「じゃあいい、行くぞA」

「影山さん……」

ハァ、と思わずため息。ムッとする影山さんに、私は言った。

「助ける助けないは別にして、放っておいても後で気になるだけだと思うんです。だからせめて――飛べるようにするとか、上から下ろしてあげるとか」

「…………」

それくらいは、しておきたいじゃないですか。

影山さんは渋々了承した。そして改めて、四人で木の上のヒナガラスを見上げる。

登るには高くて不安定な木。一体どうしてあんなところにいるのかは謎だけど、それじゃあどうしたらいいのか。

「肩車しても届かなさそうですね……」

「乗るなら影山の上に日向、だけど」

「ダメか？」

「駄目だろ」

第一案、ボツ。すると影山さんが荷物を下ろした。何をするかと思ったら、弓を取り出して構え――ってちょっとアンタ!?

「影山!? 何しようとしてんの!?」

「え？いやだから、コレでアイツを」

「狙ってどうするの……」

「殺す気ですか!?」

慌てて詰め寄って止めるけれど、影山さんは何が悪いのかまったくわかっていない顔。この人怖い……。

「別に直接狙うんじゃねえよ。ただ、横を狙えば落ちてくるんじゃないかと」

「当たらなくても死ぬヤツですそれ……」

「だいたい落下したら死ぬよ……」

*