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*
「…………」
「…………」
「…………」
「…………？」
彼は私達を一瞥すると、すぐに"そうではない"と悟ったようで、スッと無表情になった。
「…………ごめん、勘違いだったみたい……それじゃあ」
「っいやいや待って！ 待って!!」
慌てて引き止める私と日向さんに、影山さんが訝しげな顔を向けてくる。構わず言った。
「大王の気配ってどういうこと!?」
「もしかしなくても白魔導士ですよね!?」
え!? 白魔導士!? びっくりする日向さんにも構わず、私はぎょっとして半歩後ずさっている彼に詰め寄った。
「その格好にその杖。白魔導士の方ですよね!?」
「え、いや……」
「それに。大王の気配って、私達のことを嗅ぎつけたんでしょうか」
その一言に目を見開く彼は、真剣な表情で言った。
「…………追放された部下がいるって聞いた」
「はい」
「君たちのこと、かな」
「……そうです」
大王の気配がする、と来た人なら。
希望的観測に過ぎないけど、あえてそれを「探していた」のかもしれない。
そんな考えはあっていたようで。まだ把握し切れていない後ろの二人に向かって、私は言う。
「話、聞いてみましょう」
フードをとった彼。緊張した様子の日向さんに、まだきょとんとしている影山さん。
「きっと、それからが早いです」
*
日向さんの焚いた火を四人で囲って、木の実を調理しながら話を聞くことにした。
それぞれ地面に座り込む。私だけは膝立ちだ。
「…………おれは孤爪。研磨でいい。見ての通り――白魔導士」
研磨さんは、ぽつりぽつりと話をはじめた。
「もっと行った東の生まれで、そこは白魔導士の多くいる村なんだけど。……幼馴染がいたんだ」
「そいつも白魔導士なのか？」
「……完全に、じゃないけど。軽い呪文なら使える魔導士だった。そういうのもいっぱいいたんだ」
東の村なら聞いたことがあるけれど。白魔導士に会うのは、ずっと城にいたこともあって初めてだった。
純白のローブを纏う白魔導士。……けれど、研磨さんも旅をしていたのか微かに土埃で汚れているように見えた。
「でもある時、そいつが急にいなくなっちゃったんだ」
*
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作者名：スマトラ島のラフレシア | 作成日時：2016年8月1日 18時
