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ようやく装置ができて、あとは澄んだ水ができるのを待っていると、ちょうど二人が大量に木の実を抱えて戻ってきた。
……とりあえずある分とってきた、とはその通りで、なんだか節操なく摘んできたらしい。
「どれが食えるかわかんねぇけど」
「…………影山さん、子供の頃森で修行とかしなかったんですか」
「俺の時はしなかったな」
そんな返答にため息をついて、私は仕分け作業に取り掛かった。普通に毒々しい色のものもある。
日向さんはここまでどうしてきたかというと、食べられるモンスターを焼いたり煮たりしていたらしい。……たくましいことこの上ない。お願いして今夜火を焚いてもらうことにした。
ようやくろ過が終わった水を空の水筒に注ぎ分けて、三人で同時にあおる。
さすがに舞さんにもらった水よりは劣るけど、……ただの水でも聖水のように感じる。冷たさが全身に染み渡った。
「あー……久しぶりに水飲んだな……」
「日向さんもですか」
「北の方なら雪解け水でなんとかなったんだけど、やっぱ砂漠越えはキツかったからな！」
「……そっか、北は雪解けが」
納得したように頷く影山さん。なんだか、こうしているととても大王様のところに向かう一行には思えない。ただのキャンプ気分だ。
「今日はこの辺で野宿でいいですかね？」
「おう！ いいと思う！」
「もう少し周り見てからだけどな」
「じゃあ、ご飯にしましょうか。食べられる木の実洗ってくるので、日向さんは火を、影山さんは――」
そこまで言った時。
ガサガサ、と奥の方で音がした。もしやまたモンスター、と反射的に構えた私達。
打って変わって緊張した空気が張り詰める。しばらくガサガサ、ガサガサと音が続いて、そして――
ポキ
踏まれたのか木の枝が折れる音。姿を現したのは、毛むくじゃらのものでも、おどろおどろしい色のものでもなく、――
「…………なんか、」
それは。
「なんか、大王の気配がするんだけど」
白いローブに身を包んだ――猫目の人だった。
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作者名：スマトラ島のラフレシア | 作成日時：2016年8月1日 18時
