第3章 ロンリー・パーティ 01 ページ18
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「やー、焦ったなー!」
「呑気に言ってんじゃねえよ!! もしかしたら死ぬとこだったんだぞ!?」
「へーきへーき、だって倒したじゃん」
「それとこれとは話が違ぇんだよ!」
……空が青いなぁ。
突然のモンスターの襲撃。うろたえつつも機敏に動き出した日向さんに釣られるように、攻撃を開始してなんとか撃退できた。……が、結構危なかったのは事実だ。
影山さんにとってもこれは想定外だったようで、さっきから言い争いが耐えない。私は慎ましく三歩下がって歩いていた(関わりたくないからだ)。
「でも影山、おまえすげぇじゃん! 一発で仕留めちゃうなんてさ――」
「……あれはまあ、俺の腕だ」
決して謙遜はしない影山さん。
少々てこずっているところに、「あっ! 思い出した!」とものすごい高さで跳んだ日向さんが叫んだのだ。
「何だ早く言え!!」と急かす影山さんに、日向さんは剣を振りかざしながら言う。
「コイツの急所! 確か眉間だ!」
「それを早く言えボゲ!!」
怒鳴った影山さんは、次の瞬間見事に弓を眉間に命中させていた。腕前劣らざる。瞬殺だった。
うめき声をあげながら倒れたモンスターは消滅して――あとは、なにもない地面だけが残った。
「やっぱ大王様の下にいただけあるんだな!? 何で追放されたの?」
「……それは今関係ねえよ」
それよりA、と影山さんが振り返る。はい、と返事をした私に、影山さんは前方を顎で示した。
「本当にこの方向であってんのか」
「あってるはずです。森につけばすぐですよ、たぶんモンスターいっぱいいますけど、そのぶん食べるものが手に入ると思います」
「そっか」
微かに頷いて、また前に向き直る影山さん。そしてまた実りのない言い争いが続く。
喋ったら腹が減るんじゃなかったんですか。……ていうか、私といた時よりも喋ってません?
まあ賑やかなのは悪いことじゃないし、と気を取り直す。数時間前にできたパーティは、あっという間に馴染んでいた。
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時