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*
……はい?
物音がした場所から、一つ頭が飛び出していた。何もない荒地だけど、その昔民家だったと思われるような残骸はある。そんな乱雑に積まれた丸太の中から、頭が一つ。
「んだよもー、触ったら急に崩れてきやがって! ……お?」
彼は私達に気がついたようだ。一瞬びっくりした顔をしてから、にっと笑う。
「なんだ、人いたじゃん! いつからいたんだ?」
「……お前、何者だ」
「おれ? おれは――」
出逢いは突然で、……それはきっと運命だった。
そんなことを知らない私達は、ただただぎょっとして目を見張った。そして、
「おれは日向、大王様を倒しにいく勇者だ!!」
勇者は丸太の山から、顔だけ出してそう宣言した。
*
「……大王様を倒しに行く?」
影山さんは顔をしかめて聞き直した。こくこくうなずく日向さん。
無邪気な顔だけど、……言っていることの意味は。
「正気かよ」
「おれ決めたんだ! だからもう誰にも止められない!」
「……そんな生半可な道じゃねえよ」
吐き捨てるように言った影山さんに、日向さんは首を傾げた。
私と目が合う。きょとんとする彼に、私は。
「……とりあえず、そこから出ましょうよ」
手伝いますから。そう言って、少しずつ彼に歩み寄った。
「――いやー、助かった! ありがとな!」
「……どういたしまして、です」
勇者は思ったよりも軽装だった。こんなんで本当に行く気なんだろうかと怪訝に思う。影山さんを盗み見ると、呑気に弓の手入れをしていた。
「で、おまえらは何なんだ?」
「私達ですか?」
「うん。旅してるみたいだけど」
どう答えようかと迷っている間に、影山さんの声が飛んできた。
「追放されたんだよ」
……あ。言っちゃうんだ。
日向さんは、「追放? どっから?」きょとんとしている。追放された、という言葉を、
影山さんの口からちゃんと聞くのは、はじめてだった。
「大王様のところだ」
「大王様!? あの!?」
「ああ。――忠告しといてやる。あの人は怖い」
*
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時