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結局、翌日・翌々日共に熱を出して寝込んでしまうことになった。
しんどかった。雨にあてられて熱を出すほどヤワじゃないと思っていたんだけど、どうやらそうでもなかったみたいで。しっかりしなさいよ受験生、と釘を刺されてしまった。
そして、金曜日。
「ねぇ、お母さ――」
「駄目」
「……まだ何も言ってないのに」
「駄目ったら駄目よ」
うぐ、と詰まるわたしの目の前で、涼しげな表情でご飯を口に運ぶお母さん。
お母さんには、わたしの言いたいことくらいわかってるんだ。……でも、これで逃げるわけにはいかない。
我が家の朝食には、家族全員が揃う。おじいちゃんは新聞を読みながら、お父さんは穏やかに食べながら。
だから今、戦っているのはわたしとお母さんだけだ。
「でもね、おかあさ」
「駄目なもんは駄目よ」
「……何で」
「何で、って」
コポコポと緑茶を湯呑みに注ぎながら、母は言う。
「接客業、しかも食べ物を扱うのよ。もし万が一なんてあったら信用に関わるし、そんなものはお店として失格なの」
「…………でも」
「この先もお店に立ちたいなら覚えておいて。責任をちゃんと持ちなさい。Aはもう体調もいいだろうけど、全部そういうわけにはいかないの」
「…………」
最終的に、はい、と小さく頷くことくらいしかできなかった。
わかってる。自分のせいだってことは。雨にあてられたのも風邪を引いたのも。
普通に考えて、つい二日前まで風邪を引いていた人が店の前に立つだなんてあり得ないのだ。そう。あり得ない。
でも――でも、そうわかっていても甘えてしまう。お店に立ちたい。
会いたい。
平日5日、時間も限られていて、偶然としか言いようがないというのに。ただ、ちょっと期待してしまう。
わたしのいる時に来てくれたのも、もしかしたら、偶然じゃないのかって。
だから。……だから、その偶然じゃない偶然に、自分で蓋をしてしまいたくなかったのだ。わたしのせい、だけど。
「そんなに心配しなくても、お小遣いは変わらないよ?」
……違う。違うの、ごめんね、お父さん。
わたし少しだけ、苦しいの。
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 北海道産のトラさん» そんな感謝される程のことではありません……ありがとうございます! (2016年10月1日 21時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
北海道産のトラ(プロフ) - 良く書けていて凄いと思いました!この作品を書いてくださりありがとうございます (2016年9月30日 23時) (レス) id: cbf7b05fce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年6月30日 18時