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約束──23 ページ23
「っおい!乱!…目ぇ開けろ!!」
「乱兄さん!!っいやだっ」
……どろりと顕現がとけていく感覚がする。
──また、『兄弟』って言えたらいいな。
また、笑って、泣いて、またいっぱい笑い合って……。
あるじさんも、そのときはきっと『前』みたいに優しい笑みを取り戻して──。
「今、助けてやるから……っ」
「お願いっ、僕達を……遺して逝かないでっ」
……残念、もうすぐ時間切れみたい。
もう開けることさえできない瞳から、つぅっと暖かいものが頬を伝う感覚。
混沌へと沈んでいく意識。
でも、ボクは諦めない。
ボクが死んでも、みんなの中のボクが絶対絶対希望を絶やさないから。
だから。
「……五虎、退、薬研にぃ…っお願い、みんなをっ、幸せ、に……」
「乱っ……っああ。わかった。約束する」
「うんっ、やくそ、くっ…だよ……ありっ、が…と…」
ねぇ、あるじさん、……最期くらい、夢を見させてよ。
ボクは、もとに戻ったあるじさんと、この本丸のみんなと一緒に、生きていたいんだ。
だから、それまで……。
少しの間だけ、
「またね、っ……」
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作者名：茜月 | 作成日時：2022年4月8日 16時
