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うれしそうにやわらかく笑う悪魔を見て、男は、こんなふうに笑ったりもするのかと嬉しくなりました。
さっきまでの寂しそうな表情が消えたのは、自分が帰りたくないと言ったからだと思いました。ひとりぼっちじゃなくなることに安心したんだと思いました。
でもそれにしては急に気分が変わったかのようににこにこしていることには違和感を抱きました。なにか裏があると思ったわけではありません。ただどうしてか何かが変だと思ったのです。
真に受けていないわけではなさそうです。本当に喜んでいるようではあるけれど、どこか本気にされていないような気がしました。
「俺、本当にずっといるよ？いいの？」
「うん。ずっといてくれたらうれしい。これが夢でも俺は幸せだよ」
見えない壁を隔てるように椅子に座り一定の距離から近付いてこなかった悪魔が、ベッドに腰掛けながら言いました。
これが夢でも、という言葉に男は、ああそうか、と気付きます。
「いや、夢じゃないよ」
「大丈夫。わかってるよ。そう言ってくれてありがとう」
どんなに夢じゃないと言っても、悪魔は「わかってる」と言いながら現実だとは思ってくれません。
ともすれば目の前にいる男の存在すら、自分の都合のいい幻想だと思い込んでいるのです。
「なんで、なんでお前は。」
一向に交わらない平行線に悲しくなった男は、うつむいてぽつりと言いました。
悪魔は急に空気がひんやりしたのを感じました。
「どうしたの、怒ったの？」
また壁を隔てるように少し距離を取りかけた悪魔を、男はつなぎ止めたいと思いました。
「怒ったよ。お前は俺を自分の妄想かなんかだと思ってるんだろ」
悪魔は何も言いません。
「自分を怖がらない人間なんて、どこにもいないと思ってるんだろ」
「だって、ずっとそうだった。俺は悪魔だから」
「俺は怖くない」
「ありえないよ。だからこれは夢で、あなたは俺が作り出した素敵な人間なんだよ」
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7oh(プロフ) - タルトコさん» タルトコさん、コメントありがとうございます！幸せな気持ちになってもらえてよかった…！こういうのどうなんだろうとか、個人的には好きな世界観だけどこれまでのを読んでくれている人には刺さるのかどうかとかちょっと悩んだりしましたｗこちらこそありがとうですよ！ (2020年7月13日 1時) (
レス) id: 886f4a5b1d (このIDを非表示/違反報告)
タルトコ(プロフ) - こんばんは。恐れられる程の美貌でありながら無垢な心を持つ悪魔の可愛らしさ！悪魔だけれど天使のようなその笑顔に男は心が温かくなり、その温かい眼差しで悪魔は幸せを感じて…と素敵な無限ループを想像しつつ眠れる私もまた幸せです。ありがとうございました。 (2020年7月12日 2時) (レス) id: 276045d76c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2020年7月11日 19時
