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ともあれそれから俺は気が向けば先生が一人の時を狙って準備室で授業をサボるようになった。教科書読んでりゃわかるような教科の時だけ。週に一回程度だったかな。
夏休み明けは暑さ凌ぎに。木々の葉が色付き始めた頃は、読書の秋だからなんつって。そして、この日。冬休みを二週間後に控えた寒い日。
「せんせー」
扉を開けば俯いた姿勢から目だけを寄越して、少し細める。先生は視力が弱い。だから眼鏡をかけてるんだけど、本だったりプリントだったり手元に視線を向けた姿勢のまま目だけこっちを見ると完全に裸眼の状態なのだ。
「来たの」
それでも声だけで俺を判別してもらえる程度には、準備室に通っていた。そうじゃなくても髪の色でわかっただけかもしれないけど。
でも促されずとも先生の隣の丸椅子を自分の席として座ることが許される程度には常連だったし、サボることを咎められたりもしなかった。先生の側は、居心地が良かった。
「今日は何を読むの？」
「坂口安吾」
「堕落論？」
「え、うん。なんでわかんの」
「君なら白痴とか二流の人じゃなくて堕落論だろうなって、なんとなく」
「なんとなくかよ」
笑いながら、この頃の俺は、先生が名前で呼ばない事に違和感を抱いていた。いつも“君”と呼ぶ事に特に理由はないのかもしれないと思いつつ、授業の時は“櫻井君”て呼ぶのになとも思いつつ。当てるときだけじゃなくて教室の中では普通に俺を、皆を、名字で呼んでいたから。準備室に入った途端に名前を無くしてしまう自分が不思議だった。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
