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あれはいつだったか、クラスの誰かの誕生日がどうとかで盛り上がっていたとき。そういや先生の誕生日っていつなんだろう、と思った事があって。一学期の中間テストの後だったかな。もう過ぎてるかもとか思った記憶があるから、多分それくらい。テスト頑張れるようにちゅうして、てお願いした日振りの、サボりの時間。
「せんせーって誕生日いつ？」
「8月30日。国木田独歩と同じだよ」
その日を何度も反芻して脳に刻んだ。夏の終わり、トンボが飛び始める頃。夕暮れの風が物悲しくなる季節に先生は生まれたんだ。
「君はいつなの？」
「1月25日。誰と同じだっけな…石坂洋次郎？」
「陽のあたる坂道だ」
ぱっと作品が出てくるあたり、俺より沢山の本を読んでるひとだなと思った。もっと名の知れた漫画家と同じ日だったりもするんだけど、先生がそうしたように作家の名前を挙げたかった。そしたら俺が唯一知ってる作品名を言ってくれた。単なる偶然だけど、俺はそれが凄く嬉しかった。
「せんせーって本当に色んな本を読んでんだね」
「君より長い時間生きているからね」
読書する時間も、それだけあっただけのことだとでも言うように。この頃もう少し、せめてあと五年くらい早く生まれていたら良かったと考えたりしていた俺には、切ない響きだった。
先生の誕生日を知った俺は、その日まで何をプレゼントするか悩みに悩むこととなる。
それまでの“彼女”にはお揃いの香水とか指輪とかあげたりしたけど、そんなので喜ぶひとじゃないし。それに子供だなと思われそうで。
かといって。本が好きな人だからといって、それをプレゼントするのはハードルが高い。特別な日にもらった本というのは記憶に残りやすい。それ相応の物語を俺は知らなかったし、何より既に読んだことがあるものをあげてしまう可能性もある。
でも、大人にあげて喜んでもらえる物がわからない。俺がもらって嬉しい物を、先生が喜ぶとは限らない。ピアスも開いてない、アクセサリーの類は着けない。眼鏡は高いし度数がわからない。ついでに眼鏡というオシャレアイテムになりうる物を選ぶセンスがない、多分。
本人に欲しい物を聞けば早いなんてことはわかっていた。でも、そうじゃなくて。ガキなりに驚かせたりしてみたかった。びっくりした顔とか、嬉しいって言葉とか、見たり聞いたりしたかった。
先生と同じくらいの年の知り合いもいねーしなあ、て思ったとき一人だけ頭に浮かぶ人がいた。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
