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「良い。ねえ俺ずっと、」
ただ口調を当時のものにしただけなのに突如として鳩尾からせり上がる言葉が喉に引っ掛かる。言っても言わなくても伝わっているそれを声に乗せて発してしまって良いのか、もはや俺にはわからない。あの日突き放された事を都合良く忘れるなんてことは出来なかったんだから。
それに、いま、先生にそういう相手がいないとも限らないという不安材料が言葉を喉奥に押し込めた。
「ずっと、何かな」
「わかってんだろ」
「わからないよ、言ってくれないと」
不安定でぐちゃぐちゃになりそうな俺を差し置いて、先生は大人の余裕みたいなものを振り翳しつつ続きを請う。こんなにも多くの確定事項を手の中に収めてもこっちから引っ張んないとついてきてくんないの。俺はひとつゆっくりと息を吸った。
「ずっと会いたかった。名前を呼んで欲しかった、」
先生もひとつ息を、吸った。
「僕はね、ずっと待っていたよ」
「待ってた？」
「翔くんが大人になるのを。もし、その時また会えたとして、まだ僕を覚えてくれていたら。“君”の人生の中で通り過ぎた一瞬の出来事を良いかたちで忘れられずにいたなら、責任をとらせて貰おうと思ってね」
悪い大人だ、僕は。と最後に呟いた言葉に耳が震えた。
「忘れられなかった。準備室で、この部屋で飲んだ物はずっと飲めなかった。あの頃に読んだ本も読めなかった、こんなに時間が経ってるのに、」
アルコールの所為で涙腺が弛んでしまうのを、歯を食いしばって耐えた。ここで泣くのは悔しい。でも、でも。
手が頬に触れて、懐かしい体温に目を閉じたら焦がれて止まなかった唇が重なった。短い時間、まるで最初にしたときみたいなキスのあと先生が眼鏡を外して、ちょっと乱暴にローテーブルに放って再び今度は深く重なる。
不機嫌に過ごした頃の俺に教えてあげたい。ちゃんと救われるから笑ってて大丈夫だって、その先の未来で報われる想いがあるから無理に忘れようとしなくて大丈夫だって。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
