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蝉が鳴く。短い命を嘆くかのように、必死に命の灯火を燃やすかのように。とか言ったら詩的だけど当の本人、本虫？は全然そんなこと考えちゃいないんだろーな。
人間の命だってそれより長い寿命を持つものからしてみればきっと瞬くように短い。アイスランドの貝は五百年も生きる個体がいるらしいし、樹木なんかは何千年と生きるわけで。この与えられた何年、何十年という日々を齷齪生きる俺らは、彼らから見ればまた必死に見えるのだろうか。
しかしながら昔から言う蝉の七日間の命というのは、嘘らしい。確かにいくらなんでも一週間ポッキリなんて短すぎるよなぁと足元でひっくり返っている蝉の死骸に警戒しながら、そう思った。
大学生になって最後の夏。立ち上る陽炎と照りつける太陽を感じれば、色濃く思い出してしまうことがある。思い出してしまうひとが、いる。
初めての恋ではなかったけれど、或る意味では初めての恋、だった。成人を越えた大人相手に恋をしたのも、自分と同じ性である人に恋をしたのも、初めてだった。
そんな忘れられないひととの記憶に無理やり蓋をして、言ってしまえばもう“それ”は無かった事としなければならないと心に決めたのは極々最近のこと。
気持ちが薄れたわけではなく。相手のことを考えれば、俺みたいなのがいつまでも未練がましく引き摺ってるとか迷惑だよなぁと、やっと思えただけ。何のきっかけもないから会うこともないんだろうけど。
それでも心のどこかで期待していた。またいつか、どこかで会えるんじゃないだろうかと。
「まじかよ」
大型書店で本を何冊か買い、さて帰ろうと外に出たら驚くほどの豪雨だった。突如として耳にするようになってから既に夏に馴染みのあるものとなっているゲリラ豪雨。確かにここへ向かっている間、既に雲行きは怪しかった。でも降り始めたところで傘がいらない程度の通り雨だと、思っていたというのに。
店内に戻って雨が止むまで適当に過ごすかとも考えたけれど何となくそんな気分にもなれなくて。荷物はそこそこ多いのに折り畳み傘というここ一番のアイテムを持っていない俺は、買ったばかりの本をバッグの底に押し込んで、とりあえず駅を目指して走った。
向こうの空は晴れている。少し待てば、あの晴れ間がこっちまで来るのかな。それとも俺と同じく雨雲も、晴れ間の方向を目指しているんだろうか。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
