〈 02 〉 ページ17
*02*
(降谷side)
彼女に関しても、妙だと思う点はいくつかある。
「ただいま」
「待ってハロくん!」
…て、何だ騒がしいな。
ハロと遊んでいたのか…
「A、帰っ…「あ、降谷さん。」
「あ、」じゃないだろ。
素っ裸で走り回って何やってるんだ。
「ハロくんが悪戯して着替えを…」
「アン!アン!」
成る程、犯人はハロか。
「ハロ!」
「アン!」
名前を呼ぶと、素直に飛び乗ってきたハロ。
下着が体に絡まっている。
「まだまだ躾が必要だな…」
呆れるが、動物に罪はない。
ハロが盗んだ下着を返すと、彼女は照れる様子もなくそれを受け取った。
「床濡らしちゃってごめんなさい…」
「良いから、早く着替えろ」
「は、はいっ」
「……」
妙な点の1つはコレだ。
以前、浴槽で倒れていた時も同じ事を思ったが…
彼女には、恥じらいの感情が欠如している。
仮にも年頃の女子だ…。
特別な感情を持っていなくても、
異性に裸を見られるというのは通常恥じらうものだと思うが。
「お腹空きました、降谷さん」
「…あぁ、今作るよ」
普通ではない生活環境から、貞操観念も崩れてしまったのか。
本来なら、
普通に異性を意識し、恋愛をし、
恋人も…作っていただろうに。
「ハロくん怒られちゃったね…」
「アン!」
古川令に対する感情も…
彼女は知らないまま、一生の別れをしてしまった。
「ほら、出来たぞ」
「レバニラ…美味しそう、いただきますっ」
「……」
後は、そうだな。
コレはさして気に留めていないが、気になってはいる事だ。
「何か変わった事はあるか?」
「…いえ、特には。」
「…そうか。」
「はい。」
彼女は、良くも悪くも出来すぎている。
勿論、情緒が不安定な時もあるが…
基本的に、彼女は空気を読むのが上手い。
「安室 透」の件も然り、物分かりが良すぎる。
おそらく年齢の割に、精神年齢の方は随分と高いのだろう。
「美味しいです」
「そうか」
普通にそれは、良い事なのだが…
彼女の場合はどうなのか。
「……」
「?」
彼女にとっての幸せが、それらのせいで阻まれているのだとしたら…
僕に出来るのは、
「A。」
「は、はい」
「ベッド以外に、欲しい物はあるか?」
彼女から、
"普通の女の子"の生活を
取り戻してやることだ。
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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時