208_悲しい別れ ページ16
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それから体調が悪くなって…
生理が来なくなったと気づいた、あの日。
当然、妊娠の可能性を疑った。
『そんな…』
絶対に気のせいだと信じたかった。
シュウのお父さんが大変な時に、
シュウに心配かける訳にはいかないから。
ずっと祈ってた。
それでも、
『…!』
シュウの家で確認した時。
"陽性"の反応が出ていた。
『嘘…』
信じられなくて、信じたくなくて、
何の変化も見られない自分のお腹部分に触れてみた。
いるの…?
ここに…
シュウとの子どもが…?
『……』
あの時の身体の熱が蘇る。
間違いない。
小さな命が、自分の中に宿っている。
『シュウ…』
それは味わったことのない感覚だった。
あんなに受け入れたくなかったのに…
私ったら、変なの。
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シュウ…私達の子ども、育てよう?
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本当はそう伝えたかった。
だけど、
『シュウ…』
『……』
私はそこで、シュウの表情を見て
お互いの思いの違いを再認識した。
……いや、こんな関係になる前からわかってたんだけどね。
シュウは私との今後を一ミリも望んでいない、って。
『大丈夫だったよ…』
『え?』
私ってずるいよね…
好きな人の好きな人が、手の届かない所にいるのを良いことに…
好きな人のそばに居られる幸せだけを求めている。
私1人だけが幸せになろうだなんて、本当にどうかしてた。
当然の報いだよ…。
『妊娠…してなかった』
『……そっか』
案の定…と言うか
あまり表情を崩さないようにしていたシュウも
一瞬、ホッとしたように肩の力を抜いた。
そりゃ、そうだよね…
『……ッ…』
『何泣いてんだ』
『だって…』
『本当、すぐ泣くな。』
その胸の痛みは、
想像していたより強烈で、抉られるようだった。
『ごめんな…』
これが、本当の恋の辛さなんだ…
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ごめんね、あなたの母親になれなくて。
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その後の行動は早かった。
『妊…娠?』
『……』
お母さんにだけ事情を説明して、
そりゃあ厳しく説教されて…
設備の整った産婦人科で、
すぐそこにあった、小さな命とお別れした。
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みかん(プロフ) - ぴこさん» やった〜!!楽しみです! (2022年8月25日 8時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ぴこ(プロフ) - みかんさん» みかんさん、最後までご愛読ありがとうございました!泣 予想を裏切る展開になったかもしれませんが、楽しんで読んでいただけたのなら幸いです!その後の話は勿論書きますよ〜(〃▽〃)あと少しですが、引き続きよろしくお願いいたします! (2022年8月24日 21時) (レス) id: 232f2d02b7 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 完結したー!!伊月くん!!おめでとう!最初の頃は、宮地さんとくっついて終わりかーと思ってましたが伊月君だった!!すっごく面白い話でした!二人の後の話みたいでs( (2022年8月24日 19時) (レス) @page50 id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
ぴこ(プロフ) - みかんさん» 大好きだなんて、嬉しい限りです( ;∀;)誰なんですかね〜〜笑笑 予想楽しんでください!笑 (2022年8月17日 16時) (レス) @page38 id: 232f2d02b7 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - ぴこさん» ありがとうございます!この作品大好きです!え?誰だろう!楽しいです! (2022年8月15日 22時) (レス) id: 1980a86d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年7月18日 2時