ツンデレ愛妻家【黛千尋】

#08 聞き覚えのある名前 ページ9

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看護師として働きだして、早くも3年目…





「痛かったね。でも裕太くん、泣かないなんて偉いね。」





決して楽な仕事ではなく、時には過酷な肉体労働。


身体の疲労を感じる日も多々あるけれど……





「はい、ご褒美のシールです。」

「ありがとう、お姉ちゃん！」





それ以上のやり甲斐が、この仕事にはあると思っている。




小さな子どもから、ご老人の方まで

色んな患者さん達とのふれあいが、何よりの癒し。






「本田さん、手空いてる？」

「はい！空いてます！」





ふと時計に目をやると、もう夕方の時刻。


今日は千尋さん、先に帰ってるだろうなぁ…





「あの端っこに座ってる人の問診票、既に書き終えてるみたいだから、貰って先生に渡しておいてくれない？」

「問診票……あの男性の方のですか？」

「そうそう！"塩下さん"って、声かけてあげたら良いから。」

「わかりましたっ」





私がそう言うと、忙しそうにしていた先輩は早足で入院患者さんの病室へ向かって行った。





えっと…





「塩下さんっ」





……あれ？塩下…さん？


妙に聞き覚えのある名前だな……







「あっ、はい」

「……、」





ハッとした様子で此方に顔を向けた男性。


グレーのスーツ姿だけど、見た目は若く爽やかで…歳は私と同じ位かな？



でも、別に知り合いじゃなさそうだし…


どこかでお会いした顔でもないし……






「…？塩下ですけど…」

「…す、すみませんっ！」





やだ私ったら……患者さんに失礼な…！






「問診票を、いただいても宜しいでしょうか？」

「あっこれですね、どうも〜 」





ホッ…

穏やかそうな人だから良かった…。






「では、名前が呼ばれるまでお待ちになっていてください。」

「はいっ」






塩下さん。


やっぱり、何処かで聞いた事のある名前……



うぅ…

この感じ、すごくモヤモヤする。







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「美優ちゃん、よく頑張りました。ご褒美のシール、どれがいい？」




最近は、予防注射を打ちにくる子どもが多いな…


時期が時期だし、世のママ達は心配なのかしら…






「お姉ちゃんありがとう。」






子どもかぁ……









「……ん？」






ふと、足元に目をやる。



こんな所に、名刺が？








「＿＿＿！」








お、お、思い出したぁぁ！！








.









「塩下さんっ！」

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